ロシアの戦争 前線から遠く離れたウクライナ西部の村を襲う 3/3

2022/04/08
更新: 2022/04/08

ロシアとウクライナは、基地の犠牲者の数をめぐって対立している。ウクライナ側は35人のウクライナ人が死亡し(訳注:3月25日時点)外国人は死亡していないと主張している。一方、ロシア側は最大180人の「外国人傭兵」を殺害したと言っている。地元の人々は、本当の死者数がウクライナの発表した数字より多いことを知っているようだが、何人死んだのかと聞かれても口を閉ざしてしまう。

2月下旬のロシアとの開戦後、ヤヴォリブ基地はウクライナのために入国した外国人義勇兵の行き着く先となった。攻撃時に基地にいたポーランド人男性は、少なくとも300人の外国人が2つの150人旅団に分かれていると大紀元に語った。彼らは兵舎にいたが、ミサイルの1つが直撃したと、名前を明かさないポーランド人男性が言った。

地元の高官は大紀元に対し、ヤヴォリブでの本当の死者数はもっと多いと語ったが、詳しい説明は避けた。

攻撃時にヤヴォリブの施設にいたスウェーデン人のジェスパー・ソーダー氏は、最大1790人を収容できるヤヴォリブ基地が「完全に破壊された」とソーシャルメディアに書き込んだ。

基地での死者数を語りたがらない地元の人々は、東部で通常戦争と並行して展開されている情報戦に、彼らも巻き込まれていることを示唆している。コティにある正教会のヤロスラブリ・シェフチェンコ牧師は「言えないことが多い」と述べた。

3人の村人によると、攻撃で殺された地元住民の家族はまだ遺体を受け取っていないという。

3月25日、ロシアによる夜通しの基地に対する砲撃を受け帰還準備するポーランド人兵士 (Charlotte Cuthbertson/The Epoch Times)

コティの地元の人々は、ロシアが最初に侵攻した後もその場に留まった。何百万人ものウクライナ人が故郷を離れ、特にロシアが着実に前進している東部から避難してきた。コティの村人たちは、戦争初期にポーランドへの国境を越えて押し寄せた難民のために食料を作っていた。当時、外は凍えるような寒さの中で、何日もかけて渡るのを待った人もいたという。

ヤヴォリブの攻撃の後、多くの女性や子供が村から逃げ出し、その中にはポーランドで子供を産んだ女性もいたという。シェフチェンコ氏は、村には畑の世話をするのに十分な人数が残っているが、村の全体的な雰囲気は恐怖と不安で満ちていると述べた。

ポーランドとの国境は、コティから直線距離で12.8キロメートル離れている。ポーランドはNATO加盟国であるため、ヤヴォリブへの攻撃の近さは地政学的な意味合いを持っている。NATOは長年、この基地で軍事演習を行っており、NATOの東方拡大に対するロシアの懸念の象徴ともなっていた。2000年の訓練には、27カ国から1500人が参加した。

攻撃の前から、男たちは戦争に入隊するために村を出て行っていた。子供が3人以上いる人は、現在の入隊基準では入隊できない。ウクライナの兵役年齢の男性は、圧倒的に入隊希望が多い。賄賂を払って入隊させるという噂もあるくらい、需要はある。地域ごとに編成される国防軍も、定員を上回る志願者がいる。

攻撃の前から、男たちは戦争に入隊するために村を出て行っていた。子供が3人以上いる人は、現在の入隊基準では入隊できない。ウクライナの兵役年齢の男性は、圧倒的に入隊希望が多い。賄賂を払って入隊させるという噂もあるくらい、需要はある。地域ごとに編成される国防軍も、定員を上回る志願者がいる。

大紀元が観測した西ウクライナのほぼすべての村と同様に、コティも村の中心部に通じる道路にボランティアのブロックポストを建てている。ヤヴォリブへのミサイル攻撃の翌日には、数十人の男が配置されていた。12日後、未舗装の道には、1人通りがほとんどないため、空っぽになっていた。

リヴィウでは、ロシアが侵攻してきた当初、544基のブロックポストが自発的に建てられた。これはリヴィウの人々の愛国心を示すものだ。しかし、過度に熱心な地元の人々がロシアのスパイに被害妄想的になって、道路を渋滞させるため、軍備や物資、避難民の移動に支障をきたすという問題が起きた。リヴィウ州知事のマクシム・コジツキー氏は、大紀元にポストの数を5倍に減らし、それぞれに具体的な任務のリストを与えて取り締まる必要があったと述べた。

ウクライナ全土に生息するコウノトリは、コティに大きな巣をいくつも持っている。シェフチェンコ牧師によると、毎年3月23日、天候に関係なく、また長年にわたる訓練基地からの砲撃にもかかわらず、鳥たちは同じ日に巣に帰ってくるそうだ。

3月13日に大紀元の取材に応じたシェフチェンコさんは、10日後に鳥が戻ってくれば戦争は終わると信じていたという。しかし、3月25日、ウクライナの国鳥で調和の象徴であるコウノトリはまだ還ってきていなかった。

(おわり)
 

エポックタイムズの編集者。2011年以来、エポックタイムズでさまざまなトピックについて担当。