欧米諸国がロシアへの経済制裁を強化するなか、インドは、ロシアの物資やエネルギーの輸入を増やしている。欧米諸国の圧力に対して、インド政府はあくまでも自国の利益を最優先すると宣言した。
ロシアのラブロフ外相は1日、中国に続いて友好国のインドを訪問してジャイシャンカル外相と会談した。
欧米の経済制裁が敷かれるなか、インドは現在、ロシアの主要輸出先になった。EUがロシアに対するエネルギー依存から脱却すると表明したことを受け、露政府は今、アジアで代わりの貿易相手国を探している。
昨年1年間でインドがロシアから1600万バレルの原油を輸入したのに対し、今年はすでに1300万バレルを購入した。
モディ政権は、ウクライナ侵攻をめぐる欧米の対ロシア制裁に加わらず、ウクライナ侵攻に関する一連の国連決議で棄権票を投じた。
インドのこうした姿勢は欧米諸国の不満を買っている。
バイデン米大統領はこのほどモディ政権に対して、ロシアへの立場は「揺れ動いている」とけん制したが、ニルマラ・シタラマン印財務相は「インドの国益を最優先し、エネルギー安全保障を第一に考える」とロシアの安価な石油を仕入れ続ける方針を示した。
インドは、ロシアから原料炭の輸入を2倍にするほか、同国産のヒマワリ油4万5千トンの購入契約を結んだことが明らかになった。
インド政府高官は「ロシアからの輸入をどんどん増やす予定」と述べた。欧米の対ロシア金融制裁を回避するため、両国はルピーとルーブルの通貨取引システムを構築しようとしている。
印露両国は長きにわたり緊密な関係にあり、インドにとってロシアは最大の武器供給国で重要な戦略的パートナーである。インド紙「ビジネス・スタンダード」によると、2016〜20年の間、インドの武器の50%はロシアから購入したという。
インドの外交国際関係専門家であるハピモン・ヤコブ氏はドイチェ・ヴェレの取材で、「米主導の世界秩序の崩壊、領土問題を抱えている中国の台頭は、インドにとって未曾有の挑戦であり、ロシアを味方につけることが極めて重要である」と分析した。
インドは日米両国、オーストラリアと共にインド太平洋地域での中国の影響力に対抗する連携の枠組み「クアッド」に参加し、アジア太平洋地域における米国のパートナーとしてインドの重要性を増している。当局者によると、モディ政権は、バイデン政権がロシアを巡るインドの姿勢を問題視しないだろうと見ている。
(翻訳編集・叶子静)
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