英国では保健医療法(Health and Care Bill)の新たな修正案が3月30日までに上下両院で可決した。英国人の海外渡航移植を実質禁止する内容が加えられた。議員たちは「臓器の強制摘出や闇の臓器取引に対処するものだ」と修正案の意義を強調した。
保健医療法の人体組織に関する89条はすでに国内における臓器の金銭取引を禁止しているが、今回の修正案では域外にまで適用を広めた。アーガー保健相は「英国人が、世界中のどこの国であっても臓器取引に関われば、犯罪として起訴される可能性があるということを意味する」と述べた。
修正案では中国を名指ししていないが、野党・労働党のストリーティング影の保健相は「英国人が中国などを渡航移植先として禁止するもの」と説明した。「臓器が自由意志の提供ではなく奪われているケースがある。これを念頭に法整備を進めなければならない」と付け加えた。
3月16日の上院での議論では、フィリップ・ハント議員が「良心の囚人から強制的に臓器を摘出する中国臓器狩りは、被害者がそのプロセスで死亡する殺人罪である。取り出された臓器は移植のために中国の役人や外国人に売られている」と述べた。
法案は制定前の最終段階で、この後上下両院の調整を加えられたのち4月末に成立する見通し。
人権団体の報告などによると、中国の強制臓器摘出は十数年続いている。イスラエル、スペイン、台湾、イタリアなど7つの国・地域の議会では渡航移植を禁止するなど中国の移植濫用を念頭にした法案が可決している。
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