ウクライナで効力発揮する携帯兵器…台湾は「異なる防衛手段」=専門家

2022/03/18
更新: 2022/03/18

ロシアによるウクライナ軍事侵攻から23日が経とうとしている。世界中の軍事戦略家たちは、装備品や人員では圧倒的な差があるロシア軍を食い止めているウクライナ側の戦略を分析している。多くは、兵士が移動しながら持ち運ぶことができる携行対戦車ミサイル「ジャベリン」や携帯式防空ミサイルシステム「スティンガー」などの機動力を活かした兵器が効力を発揮しているとみている。

同時に、地続きのウクライナと海峡を隔てた台湾とでは地形による防衛環境が大きく異なるが、中国共産党による台湾侵攻への影響が注目されてきた。専門家は、この地形の違いを強調したうえで、台湾兵士がこうした携帯兵器で対処する状況は防衛上「望ましくない戦況」だと述べた。

台湾兵士がジャベリンやスティンガーを多用する場合は、中国人民解放軍による上陸目前か、もしくは既に上陸された状況になるとした。「最も良いのは相手を上陸させないことだ」。台湾国立政治大学・東アジア研究所の丁樹範名誉教授は大紀元の取材に答えた。

160キロにおよぶ台湾海峡を抜け、上陸作戦を実行させないためには「(台湾の対岸に位置する)福建省などに中国軍が集結し始めたら、台湾軍は短距離ミサイルを軍港や輸送艦艇を打ち込む」など、上陸防止のための作戦を例に挙げた。

もちろん進撃が進めば、ウクライナ同様、台湾もジャベリンやスティンガーなどの兵器に頼り、短距離ミサイルで戦闘機を撃墜するようになるだろうと丁氏は付け加えた。

「マルチドメイン抑止(Multidomain Deterrence)または「レイヤー防衛(Layer Denfense)」として知られている台湾の現在の防衛戦略は、台湾を守るための正しいアプローチだと丁氏は見ている。また、台湾のミサイル攻撃密度は世界でもトップクラスだと強調した。

台湾はなおもミサイルシステムの強化を続けている。米国防総省は2月、台湾が保有する米国製の地対空ミサイル防衛システム「パトリオット」の維持や改良のための関連機器、サービスを台湾側に売却することを承認した。

さらに、台湾は初となる国産潜水艦の建造を2020年11月に起工させた。蔡英文総統は「潜水艦は軍が非対称戦力を発展させ、敵艦が台湾本島を周回するのを阻止するために重要な装備である」と述べた。

こうしたミサイルシステム強化や潜水艦のほか、台湾が自衛力を高める手段として、丁氏はいくつかの方法を挙げた。1つは予備役訓練だ。台湾国防部は今年有事の際に動員される予備役に射撃訓練を実施すると発表した。島内24の大隊で1万5000人の予備役が14日間の厳しい訓練プログラムを受けるという。

このほか、中国軍のミサイル攻撃に備え、企業などの組織が自ら防御計画を策定することや、より多くの台湾兵士が米軍の訓練を受けることだとした。蔡英文氏は2021年、小規模で米軍が台湾兵士を訓練していることを認めた。

武田綾香