ウクライナめぐり偽情報拡散…AIで作成された架空の人物

2022/03/01
更新: 2022/03/01

ウクライナ情勢をめぐり偽情報を拡散していたとして、メタ(旧フェイスブック)は2月27日までに影響工作を図る40のアカウントを停止したと発表した。より本物であるかのように装うため、人工知能(AI)が作成した架空の人物の画像を使用したり、偽りの経歴を掲げたりしていた。

米NBCニュースのベン・コリンズ記者は停止したアカウントの2つを例示。白人男性の「ウラジミール・ボンダレンコ」および白人女性の「イリーナ・ケリモバ」は反ウクライナ主張を繰り返しており、同国の信頼を損なうことを狙う情報を発信した。この2つは、ロシアの政治宣伝サイト「ウクライナ・トゥデイ」に誘導していた。

この2人の画像はAIで生成されていたという。コリンズ氏はツイートで男性画像の歪んだ耳の形を、女性画像の不自然なイヤリングの付け方を指摘。AIを活用して架空人物の画像を作成するサイト「This Person Does Not Exist(この人は存在しない)」を使用した際に出てくる特徴とした。

メタによれば、削除した複数のアカウントは「キエフ拠点の独立系報道媒体」を主張し、フェイスブックやインスタグラム、ツイッター、ユーチューブ、テレグラムなどでウクライナ政権に関するロシアの政治宣伝を拡散。書き手はニュース編集者や元航空技師、科学書籍の作家などと経歴を装っていた。

メタは、これらが米国制裁対象とするロシアの政治宣伝組織「ニュースフロント」と「サウスフロント」と関係していると指摘する。

ウクライナ侵攻に対して強い行動を起こす欧州連合(EU)は27日、ロシアの偽情報に対処するため国営ロシア・トゥデイ(RT)とスプートニクの放送を停止する方針を示した。フォンデアライエン欧州委員長は「戦争の正当化や欧州連合の分裂をもたらす嘘の拡散を止める」目的があるとした。

ティエリ・ブルトン欧州委員会域内市場政策担当委員らは28日、グーグルとユーチューブのCEOに、ロシアの政治宣伝に対する取り組みを強化するよう要請したと発表した。

米国をはじめ国際関係担当。