ハイブリッド戦争…ニセ情報流布などの宣伝工作、政府が一体となって対応を=岸防衛相

2022/02/22
更新: 2022/02/22

岸信夫防衛相は衆院予算委員会で21日、ニセ情報の流布を含む宣伝工作など伝統的な安全保障の枠組みから外れた動きが国際社会で見られるなか、自衛隊のみならず政府が一体となって対応する必要との認識を示した。維新の会・青柳仁士衆院議員が、情報や経済、外交など従来の安全保障領域にとどまらない多様な戦い方を指す「ハイブリッド戦争」について質問した際の答弁。

青柳氏は、中国共産党が経済措置や心理作戦、サイバー攻撃など従来の軍事攻撃にとどまらない「超限戦」を講じていることにも言及。武力攻撃などの概念に関する従来の政府見解では現況に対応できるのかと疑問を呈した。

岸氏は「我が国に対する武力攻撃とは領土、領海、領空に対する組織的および計画的な武力行使」とする認識を踏まえたうえで「近年、国際社会では自らに有利な国際秩序の形成を目指した国家間の競争が顕在化するとともに、ニセ情報の流布を含む様々な宣伝工作が行われるなど、伝統的な安全保障領域にとどまらない動き」があると指摘。政府が一体となり、地方自治体や民間の協力を経ながら対処していく必要性を強調した。

防衛省は令和4年度予算で歳出予算を5兆8661億円を計上した。従来の領域である陸海空のほか、宇宙・サイバー・電磁波といった新領域における能力を強化させ、多次元統合防衛力を構築することを掲げている。

中国の超限戦について、防衛研究所の『中国安全保障レポート2021』では「無限にも近い多様な選択肢があり、自縄自縛に陥って戦争手段を軍事的範囲内に留めておく理由がなく、殺傷や流血なしに戦争の目標実現することが可能になる」ことから、今後も各国に積極的に適用されるとの分析を示している。

日本の安全保障、外交、中国の浸透工作について執筆しています。共著書に『中国臓器移植の真実』(集広舎)。