[モスクワ/キエフ/ドネツク(ウクライナ) 21日 ロイター] – ベラルーシ国防省は、20日に終了する予定だった同国でのロシアとの合同軍事演習を延長すると発表した。衛星映像の分析では、ロシア軍がウクライナ国境近くに装甲車や部隊を新たに配備したことが分かっており、ウクライナ情勢をめぐる緊張は一段と高まった。
バイデン米大統領は国家安全保障会議(NSC)に出席後に予定していたデラウエア州訪問を中止。ワシントンにとどまり、マクロン仏大統領と電話会談してロシアの国境付近における軍備増強について協議した。
ブリンケン米国務長官は、演習延長でロシアのウクライナ侵攻が間近との懸念が強まったと述べた。
米衛星運用会社マクサーの衛星画像分析によると、複数のロシア軍部隊がウクライナ国境沿いの森林や農地、工業地帯に新たに配備された。一部は国境からわずか15キロの地点に配置されているという。同社は「最近まで、部隊配置は主に既存の駐屯地や演習地の中あるいは付近だった」が、変化がみられると指摘した。
マクロン大統領の顧問は、マクロン氏とロシアのプーチン大統領が20日の電話会談で、ロシアとウクライナ、欧州安保協力機構(OSCE)との会合を21日に開くことで合意したと明らかにした。
ウクライナの北に位置するベラルーシは、演習するロシア軍部隊の駐留延長期間を明らかにしていない。フレニン国防相は、「国境付近での悪意ある勢力による軍事的準備を抑制し、適切な対応を取ることが目的だ」と述べた。
ウクライナ東部では、政府軍と親ロシア分離派が実効支配する地域との境界線をまたぐ砲撃が17日以降急増しており、20日も続いた。
北大西洋条約機構(NATO)はベラルーシに駐留するロシア軍部隊を3万人と推定、ウクライナを攻撃するために派遣される可能性があると指摘している。ロシアはこれを否定している。
チェコのフィアラ首相はテレビのインタビューで「大げさではなく、欧州は戦争の一歩手前にある。つい最近まで想像できなかったことだ」と嘆いた。
ロシア大統領府(クレムリン)のペスコフ報道官は20日、ロシアがウクライナに侵攻するという西側諸国の度重なる予測は挑発的であり、悪影響を及ぼす可能性があると述べた。
タス通信によると、親ロシア派が実効支配するドネツク、ルガンスクの両地域から過去24時間に3万人以上がロシアに避難した。ロシア南部ロストフ州の当局の話として伝えた。親ロシア派はウクライナ政府軍が攻撃する構えだと主張し、18日に住民の避難を開始していた。
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