米議員、台湾侵攻なら中国側に厳しい制裁科す法案提出 「抑止力につながる」

2022/01/24
更新: 2022/01/24

米上院軍事委員会のダン・サリバン議員は21日、中国が台湾に軍事侵攻した場合、中国企業や共産党幹部に対する経済制裁および米市場での上場廃止などを含む広範な制裁を科す法案を上院に提出した。

「S.T.A.N.D. with Taiwan Act of 2022」と名付けられたこの法案は、中国共産党が台湾を侵攻した場合、党員や中国企業に経済・金融制裁を科すほか、米国の金融機関にも中国企業への投資や取引を禁じる。さらに、一部の中国生産品の輸入を禁止する。

昨年3月の上院公聴会に出席したインド太平洋軍司令官デビッドソン将軍(当時)は、地域覇権を米国に取って代わろうと軍拡を続ける中国共産党の動きに強い懸念を示したうえで、台湾侵攻は「今後の6年」が特に憂慮する期間になると明らかにした。

サリバン氏は議場で、このデビッドソン将軍の言葉を引用し「6年は決して長い期間ではなく上院は集中的な議論が必要だ」と述べた。ウクライナへの侵攻を予告しているロシア側の行動とも「無関係ではない」とし、切迫感をあらわにした。

90年代の台湾海峡危機の際、米軍海兵隊だったサリバン氏は水陸両用機動チームの一員として台湾の安全保障に関わった経験を持つ。

法案は中国経済の主要産業に深刻な影響を与える制裁措置を盛り込んだ。サリバン氏は、台湾への軍事侵攻の代償が何であるかを中国共産党政権に理解させることで、抑止力を高めることができると強調した。

サリバン氏は昨夏、民主党のタミー・ダックワース議員、クリス・クーンズ議員とともに米軍機で訪台し、75万回分の中共ウイルス(新型コロナウイルス)のワクチンを寄贈した。米議員団は滞在中に蔡英文総統と会談した。

近年台湾有事に関する意見は米議員で相次ぎ出ている。米下院軍事委員会のエレーヌ・ルリア議員は昨年12月、中国による台湾侵攻時は緊急時に米大統領権限を強化するべきだと講演会で意見表明した。20年のベテラン海軍兵士だった同氏は10月にも、軍事衝突を局地戦にとどめ全面戦争を回避する体制を整える「台湾侵攻防止法案」を下院に提出している。

昨年2月リック・スコット議員は、中国が台湾を直接攻撃した場合に大統領が軍を派遣することを認める「台湾侵攻防止法案」を上院に提出した。同年11月にはジム・リッシュ議員らが台湾への年間20億ドルの軍事資金援助を認める「台湾抑止法案」を提出した。

日本の安全保障、外交、中国の浸透工作について執筆しています。共著書に『中国臓器移植の真実』(集広舎)。