台湾、国家安全法を見直しへ ハイテク分野人材流出防止強化

2022/01/19
更新: 2022/01/19

「製造強国」を目指す中国当局が台湾の有能な技術者を引き抜いている現状に、台湾政府は国家安全法に「経済スパイ罪」を盛り込むと示した。いっぽう、専門家は台湾版「経済スパイ法」の制定を推進する必要があると主張。

台湾技術者を狙う

台湾メディアによると、このほど中国企業「合肥聯睿微電子科技術有限公司(以下は合肥聯睿)」は台湾籍の呂逸群氏(男性、44)を通じて、新竹市で台湾現地企業「藍芯微電子有限公司(以下は藍芯)」を設立した。

南太平洋の島国サモアにある合肥聯睿のペーパーカンパニーは、藍芯に2億台湾ドル(約8億3000万円)の資金を提供し、半導体の設計やブルートゥースイヤホンの開発などを担う技術者のスカウトに充てた。

新竹市検察当局は、合肥聯睿が海外に送金し、台湾の採用情報サイトで半導体産業の技術者を募集することによって、台湾企業の機密情報が漏えいする恐れがあると指摘した。

検察当局は今月13日、関係者16人に事情聴取を行った。

昨年3月、人工知能(AI)産業に進出した中国本土の半導体会社、比特大陸(Bitmain)は無許可で台湾に現地企業を設立した。同社は新型コロナウイルス(中共ウイルス)の感染拡大を理由に、台湾で研究開発センターを設置した。過去3年間、台湾から優秀な技術者約200人を引き抜いたという。

台湾誌「商業週刊」などによると、中国当局は製造業発展計画「中国製造2025」を積極的に実施していた2019年当時、台湾の半導体産業で働くエンジニア3000人以上を引き抜いた。中国企業はエンジニアに台湾企業の3倍の給与を約束したという。

「経済スパイ法」

台湾法務部(省)は15日、中国企業が台湾の先端技術人材を狙う手法をまとめた。中国企業は、台湾政府の審査を回避するために、台湾で個人事務所、または台湾籍市民の名義で現地企業を設立するだけでなく、中国企業であるという印象を与えないように日本、米国、香港、マカオなどで子会社を立ち上げてから台湾で事務所を設置する。

法務部は、先端分野での人材流出を防ぐために国家安全法を改正し、「経済スパイ罪」に関する法規を新たに盛り込むと示した。法務部は今後、中国企業による悪質な人材の引き抜きに捜査態勢を強めると示した。

「外国、中国本土、香港・マカオ、外国敵対勢力の実質的支配下にある組織のために、国家の重要技術に関わる企業秘密を侵害した者は、最高12年の禁固刑と500万~1億台湾ドル(約2076万~4億1500万円)の罰金に処す」という。

いっぽう、台湾国防部のシンクタンク、国防安全研究院(INDSR)の蘇紫雲研究員は、中国産業スパイによる浸透工作や技術窃盗をより有効に、より具体的に防ぐには「米国や日本に倣い、経済スパイ法の立法を推進すべきだ」と大紀元に語った。

同氏は「国家安全には企業活動の安全、産業競争の安全が含まれる」と述べ、経済スパイ法の成立によって、台湾企業の産業競争力をより強化することができると指摘した。

(翻訳編集・張哲)