北京冬季五輪を控えた中国の厳しい国境管理により、ミャンマーやベトナムからの果物輸出が停滞し、輸出業者が苦境に立たされている。トラックの滞留により産物が腐敗するなど、業者は深刻な経済的打撃を受けている。ラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。
中国陝西省西安市での人口約1300万人を対象としたロックダウンや国境管理により、東南アジアの青果業者は旧正月に向けて用意した農産物の廃棄を強いられた。道端に放置されたミャンマー産のスイカは、牛や水牛などの「餌」となっている。
さらに越境には『中国製のトラックを使用しなければならない』との新しい国境規制により「新鮮な果物を届けることがほとんど不可能になった」とミャンマーからの業者たちは語る。運送業者は貨物を廃棄せざるを得なくなり、莫大な損失を被ることになった。
国境貿易地区内のサイ・ミン・ボー果物倉庫のオーナー、ナン・キン氏は、RFAに対して「現在、倉庫からゲートまで果物を運ぶのに15日以上かかる。鮮度を保てない果物は輸出できない」と悲痛な思いを口にした。またミャンマーの貿易業者が越境するさいには中国人のトラック運転手を雇わなければならなくなったため、輸出のコストも上がっているという。
「輸送費も中国側の関税も高いため、果物を選別しなければならない。そのため多くを廃棄する形となってしまう」と同氏は語った。
中共ウイルス(新型コロナウイルス)の影響で5カ月以上閉鎖されていたミャンマー北東部シャン州ムセにあるチンサンチョー国境検問所は、11月26日に再開した。しかし、中国当局による中共ウイルス感染対策の強化により物流の停滞は改善されていない。
対策練るベトナム政府
中国当局はベトナムから輸入されたドラゴンフルーツから中共ウイルスが検出されたと発表し、浙江省および江西省の9都市でスーパーマーケットの営業を停止した。サウスチャイナ・モーニングポストが報じた。
これにともない旧正月(2月1日)に合わせて生産された30万トンのドラゴンフルーツの販売に影響がでるとベトナム農業農村開発省は懸念を表明した。
1月10日付のベトナム商工省公報によると、同省はドラゴンフルーツの輸出向け生産・輸送の工程管理を厳格化し、国内消費を促進するという。農業農村開発省およびドラゴンフルーツ栽培地域の人民委員会に対して中国の輸送を取りやめるなど政策の調整を要請したという。
ヒンリッヒ財団の上級研究員スティーブン・オルソン氏はBBCの取材に対して、「ベトナムは、少なくとも今後6カ月間、(国境での)貿易混乱に備える必要がある」と指摘する。また、中国は冬季五輪後も秋の共産党大会まで引き続き強力なパンデミック対策政策を維持するだろうと付け加えた。
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