河北省は太陽光パネル設置のため農地を強制的に収用し、抵抗する住民を暴力的に排除した。来年2月の北京冬季五輪・パラリンピック大会が使用する電力を、全部クリーンエネルギーで賄う方針を打ち出している。河北省は競技エリアの一つである。
AFP通信社21日付によると、河北省黄郊村のある住民は、すでに半分以上の農地を失い、周辺に広大なソーラーパネルが設置されていると話した。住民は、「収入がほとんどなくなり、トウモロコシの殻とビニール袋を燃やして暖をとっている」という。
電力会社との間で、25年間の農地租借契約を結んだが、「毎年、1ムー(約666.7平方メートル)当たりの土地租借金はわずか1000元(約1万8000円)だ」という。同じ広さの農地でトウモロコシを栽培すれば、農民の収入はこの2倍以上稼ぐことができる。
土地を失った住民らは、日雇いの仕事をして生計を立てている。
報道によると、中国当局は北京五輪への電力供給の確保、北京市のスモッグ解消のため、河北省に巨大な再生可能エネルギー発電工場を建設した。この工場では「年間140億キロワットのクリーンな電力を生産する」という。だが、地元住民は再生可能エネルギーの推進で生活が一段と苦しくなったと話した。
黄郊村のもう一人の住民は、地元当局が住民に対して、土地を国家電力投資集団(SPIC)のソーラーパーク建設に貸すよう強制したと述べた。抵抗する者は警察官に暴行され、拘束された。取材に応じたこの住民も40日間拘束された。
「ここの状況はマフィアと似ている。不平不満を言うと、抑圧され拘束され、さらには懲役刑などを言い渡される」
前出の生活苦を訴えた住民は、「不法集会をし、平和を乱した」との罪で、9カ月の懲役刑を言い渡された。
国際人権団体のアムネスティ・インターナショナルは声明で、「強制退去、違法な土地収用、土地の損失による生計手段の喪失」は、風力や太陽光発電業界で最もよくみられる人権問題の一つだと指摘している。
中国当局は、2030年までに1次エネルギー消費に占める非化石燃料の割合を25%にする目標を掲げている。環境保護活動家は、今後、中国で農地の強制収用がさらに増えると指摘した。
(翻訳編集・張哲)
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