米議員、北京五輪放送で人権侵害について報道を NBCに要請

2021/12/20
更新: 2021/12/20

2カ月後に迫った北京冬季五輪の放送に合わせて、米議員らは放送権を持つ米NBCユニバーサルに対し、新疆ウイグル自治区や香港での人権侵害について伝えるべきだと訴えた。中国当局が人権状況を向上すると約束した2008年の北京夏季五輪以降も同国の人権侵害は悪化の一途を辿っており、NBCに対し放送契約の解除を求める声が高まっている。

米国の中国問題に関する連邦議会・行政府委員会(CECC)の委員長を務めるジェフ・マークリー上院議員とジェームス・マクガバン下院議員は16日、NBCのジェフ・シェル最高経営責任者(CEO)に宛てた書簡のなかで、新疆ウイグル自治区でウイグル人に対して行われているとされるジェノサイドや中国共産党政権による香港民主化運動の弾圧に関する真相を北京冬季五輪の放映枠で流すよう求めた。

書簡では、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」にも言及し、同五輪に10億ドル近くを投資しているNBCとその関連会社は「中国の人権侵害を取り上げる責任がある」と強調した。

国際オリンピック委員会(IOC)は、過去4年間の収入の73%を放送権料から得ており、そのうちNBCが約4割を占めているという。

さらに、オリンピック憲章の「普遍的で根本的な倫理規範の尊重」を基盤とするならば、中国共産党のウイグル人や反体制派などに対する弾圧を正当化する映像や犯罪を隠蔽するような報道をすべきではないと提言した。

NBCに対しては放送契約の解除を求める圧力も高まっている。今月初めには、チベットと香港の活動家がニューヨークのNBC本社前で抗議活動を行ない、中国共産党の厳しい検閲体制について訴えた。活動家らは女子テニスの彭帥選手が中国の前副首相から性的暴行を受けた問題をめぐって女子テニス協会(WTA)が中国からの撤退を発表したことに言及し、NBCもこれに追随すべきだと主張した。

6月には、世界各国の200の人権団体が合同で「中国共産党の弾圧を正当化したり、『ジェノサイド・ゲーム』を促進することを避けるために、NBCに放送を中止するよう要求している。

米国に本部を置く国際NGO団体「フリーダム・ハウス」は2021年の年次報告書「世界における自由(Freedom in the World)」のなかで、中国を100点満点中9点と評価し、「世界で最も人口の多い独裁国家」と表現。中国共産党は香港の民主主義と自由を抑圧するだけでなく、その悪影響を海外にも拡大していると危機感を示した。

米国をはじめ国際関係担当。