米国防総省、在外米軍の態勢見直しを発表 優先地域はインド太平洋…中国は「迫りくる脅威」

2021/12/01
更新: 2021/12/01

米国防総省は29日、在外米軍の態勢見直しグローバル・ポスチャー・レビュー、GPR)の結果を発表した。カーリン政策担当国防次官代理は同日の記者会見で、米国は中国を脅威とみなしており、インド太平洋を今後の「優先地域」として位置付けると語った。同盟国との秘密保持の関係上、具体的な内容は公開されていない。

国防総省はGPRに関する声明のなかで、インド太平洋地域について「中国の潜在的な軍事的侵略や北朝鮮の脅威を抑止し、地域の安定を保つために、同盟国との協力関係を強化するよう指示している」と書いた。

米国防総省は中国を「迫りくる脅威(pacing threat)」と位置付けている。コリン・カール政策担当国防次官は6月の省内政策会議で「経済、技術、政治、軍事の面で体系的に米国に挑戦する国は中国が唯一だ」と説明している。また、国防省は対中関係で取り組むには国防総省のみならず「間違いなく社会全体」での対応が必要だと述べた。

米軍がアフガニスタンでの作戦を終え、戦略転換をすると目されていただけに今回のGPRは注目を集めた。

GPRはインド太平洋地域の取り組みについて「軍事的パートナーシップ活動のための地域参入の拡大、オーストラリアと太平洋諸島におけるインフラの強化、オーストラリアのローテーション配備計画、 韓国での攻撃ヘリコプター中隊と砲兵師団司令部の恒久的な駐留」を挙げた。

GPRのリリースを受けて、民間の非営利団体・米海軍協会(USNI)は29日、インド太平洋地域では数年かけて弾薬庫、飛行場の改良、燃料貯蔵庫、物流施設などが改善される可能性があると報じた。

国防総省のGPRに関するリリースでは、他地域の米軍態勢についてもコメントしている。欧州ではロシアの活動を抑止するため、米国の戦闘力の高い抑止力を強化し、NATO軍がより効果的に活動できるように支援するという。 また、前政権が設定したドイツの駐米兵2万5000人の上限を今回のGPRで撤回した。

中東では、イラン対策やアフガニスタンでの軍事作戦終了後のテロ対策の必要性を評価した。アフリカでは、地域の暴力的過激派組織からの脅威を監視し、外交活動を支援する。中南米およびカリブ海地域では、人道支援、災害救援、麻薬対策などの国家安全保障上の目的を支援するための国防総省の態勢の役割を見直した。

日本の安全保障、外交、中国の浸透工作について執筆しています。共著書に『中国臓器移植の真実』(集広舎)。