中国との戦争、一度も考えたことがない=米トランプ前大統領 ミリー将軍に反論

2021/11/28
更新: 2021/11/28

米国のトランプ前大統領は26日に声明を発表し、中国と戦争することは一度も考えたことがないと明らかにした。米軍制服組トップのマーク・ミリー統合参謀本部議長が、トランプ氏の「暴走」が懸念されるとの理由で中国の李作成参謀長と極秘に通話していたことに対する反論とみられる。

トランプ氏は「私は貿易戦以外で、中国と戦争しようとは一度も考えたことがない」と記した。「私はこの数十年で唯一、米国を戦争に巻き込まなかった大統領だ。その上、私は米国を戦争から解放したのだ!」と強調した。

本件について、統合参謀本部とミリー氏の広報担当は大紀元の取材に応じなかった。

9月、米紙ワシントン・ポストの記者2人による暴露本『危機』には、トランプ政権の最後の数か月間、ミリー氏が中国共産党中央軍事委員会の李作成・連合参謀部参謀長に2回電話をかけたことが記されている。

ミリー氏は9月28日の米上院軍事委員会公聴会で、もし米国が対中攻撃を計画していた場合には事前に警戒するよう伝えることを李作成将軍に語った、と発言した。そして2020年10月30日と2021年1月8日に中国側に連絡したことを認めた。

トランプ氏は26日の声明で、ミリー氏の行動は反逆罪にあたる可能性があると示唆した。

米国防総省(ペンタゴン)で行われたニュースブリーフィングに参加するマーク・ミリー将軍=2021年5月6日 (Alex Wong/Getty Images)

ミリー氏によると、中国側との1度目の通話時は8人、2度目は11人の米政府関係者が傍聴していた。

「私は彼(李作成将軍)に対し、我々は攻撃するつもりはないと伝えた。トランプ大統領には攻撃する意図がないことを繰り返し伝えた。もし攻撃があるとすれば、多くの通信が行き交い、中国側の情報システムがそれを認知するだろう、と伝えた」とミリー氏。

「私はおそらくあなたに電話するだろう。みな電話するだろう。しかし、私たちはあなたたちを攻撃するつもりはない。落ち着いてほしい。そのようなことにはならない」とミリー氏は付け加えた。

2度の電話があった期間に国防総省を率いていたミラー元国防長官代理は、ミリー氏と李氏の連絡を許可していないと述べた。さらにミリー氏の行為は「一国の軍人のトップとして今までにない不名誉な不服従行為」であるとして非難した。

しかし、ミリー氏は中国共産党との電話は「省庁間」で調整されたものだと述べた。「通話の目的は、中国が米国からの攻撃を懸念していると思わせるような情報があったからだ」と話した。

これに対し、同時期に国家情報長官を務めていたラトクリフ氏はミリー氏の主張を疑問視している。9月の公聴会では「中国との連絡を後押しする情報はなかった」と証言した。

ラトクリフ氏はFOXニュースの取材で自身は当時大統領の最高情報顧問を務めていたことを提起し、ミリー氏が情報を持っているにもかかわらずその提供を拒んでいたのであれば「まったくばかげたことだ」と述べた。

日本の安全保障、外交、中国の浸透工作について執筆しています。共著書に『中国臓器移植の真実』(集広舎)。