中国財政部(財務省)は23日、地方政府の債券発行量および債務残高を公表した。これによると、1~10月までの地方政府の債務残高は約30兆元(約540兆円)に達し、史上最高となった。
財政部の統計によると、1~10月までに発行された地方債は6兆4916億元(約117兆円)で、昨年同期比6%増えた。新規地方債のうち、再融資債の規模は2兆8291億元(約51兆円)で、同75%急増した。
再融資債は、満期を迎えた既発債の借り換えや元本償還のために発行されている。1~10月までに新たに発行された地方債の約半分は、経済活動に投入されておらず、古い債務を返済するために発行されたと見受ける。中国メディアなどは、再融資債の拡大が1~10月地方債の増加の主因であると指摘した。
地域別でみると、広東省が発行した地方債の規模が最も大きい。5894億元(約11兆円)に達した。
1~10月末までの地方政府の債務残高は29兆7000億元にのぼる。中国金融学者の鞏勝利氏は米ラジオ・フリー・アジア(RFA)に対して、地方政府の「金欠状態」は「前例のないほど深刻化している」と指摘した。同氏は地方政府の債務残高は今年、30兆元を上回る可能性が大きいとした。
「中央政府が小康(ややゆとりのある)社会を実現できたと宣言すれば、エネルギー問題や都市建設など、資金を必要とする分野がさらに増えるからだ」
鞏氏によると、中国国内に使われている電力の72%は火力発電に頼っている。「他の自然エネルギーへの転換は大きな事業である。一次エネルギーの多くは海外からの輸入に依存している。資金がなく、地方債などを発行しなければ、一次エネルギーを得られないので、中国当局にとって大きな難題である」と同氏は述べた。
金融学者の陳有成氏は、中国不動産企業の過剰債務問題が深刻化しているため、地方政府の財政は過去のように「不動産市場や土地収入に頼れなくなった」とした。地方債発行は、地方政府にとって「(財源確保の)唯一の方法になっている」と陳氏は述べた。
(翻訳編集・張哲)
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