「中国は密かに軍用ドローン企業を買収」 伊政府、破棄示唆=報道

2021/11/17
更新: 2021/11/17

ロイター通信は16日、3人の情報筋の話を引用し、イタリア政府は中国国営企業がイタリア政府の承認を得ずに、同国の軍用ドローン製造企業の株式を取得したことを批判したと伝えた。同国政府は、近く関係者らに説明を求める書簡を送り、納得のいく説明が得られない場合、この買収契約を破棄すると示した。

イタリア政府は今年8月、香港企業のマーズ情報科技術公司(Mars、以下はマーズ社)が2018年、400万ユーロ(約5億1980万円)でドローンメーカー、アルピアビエーション(Alpi Aviation)社の株式75%を取得したことについて、国家安全保障などの分野に関わる重要企業に対する外国企業の直接投資を規制する「ゴールデン・パワー法」を基に調査し始めた。伊当局は、マーズ社はアルピアビエーション社の株式取得を巡って、イタリア政府に報告し、承認を受けるべきだったとしている。

米紙ウォール・ストリート・ジャーナルの15日付では、イタリア警察当局が他の事件を捜査中に、この買収案を知った。警察当局の情報によると、マーズ社は18年7月に設立され、このわずか2カ月後にアルピアビエーション社の株式を獲得した。マーズ社は、株式取得後、アルピアビエーション社にさらに150万ユーロ(約1億9492万円)を出資した。

警察当局は捜査で、マーズ社の所有者は中国国営企業2社であることを掴んだ。2社は、国有鉄道車両メーカーである中国中車(CRRC)の傘下投資会社「中車資本控股有限公司」と、江蘇省無錫市の市営投資会社「中聯投控股股份有限公司」。

警察側は、マーズ社について「ペーパーカンパニー」であるとの認識を示した。伊当局は、中国企業が株式を取得する目的は、アルピアビエーション社を中国政府の支配下に置くことだとした。

イタリア財務警察のトップであるステファノ・コメントゥッチ(Stefano Commentucci)氏は、「これは明らかに技術の略奪を目的にした投資だ。このような投資はイタリアでは禁止されている」と指摘した。

(翻訳編集・李凌)