米空母ロナルド・レーガン、「前例のない」大航海終え横須賀に帰還

2021/10/18
更新: 2021/10/18

米海軍の空母「ロナルド・レーガン」が5か月に及ぶ大航海を終え、16日、米海軍横須賀基地に帰還した。指揮官のフレッド・ゴールドハンマー大佐は今回の航海について、「歴史的なものであり、米軍で唯一前方展開する空母にとって前例のないものだ」と述べた。航海中は同盟国やパートナー国の海軍と合同演習を行い、アフガニスタン撤退作戦の際には数多くの一般人の輸送を支援した。

収穫の多い大航海

空母「ロナルド・レーガン」打撃群は5月19日に横須賀を出港し、5月と6月に海上自衛隊及びシンガポール海軍と演習を行った。空母は6月18日にマラッカ海峡を通過し、6月23日から24日までインド海軍および空軍との共同演習に参加した。これは多国間演習「マラバール2020」以来、インド洋で行われた初の海軍演習だった。

空母打撃群はさらに西へと進み、7月にはアデン湾で英空母「クイーン・エリザベス」打撃群や第24海兵遠征部隊と合流し、統合演習を実施した。そのほかにも、フランスやドイツ、パキスタンのフリゲート艦との演習に参加した。

合同演習を実施する空母ロナルド・レーガン。2021年7月撮影(ロナルド・レーガン公式ツイッター)

航海の間、「ロナルド・レーガン」の航空団は合計1万4820時間以上の飛行訓練を行った。また、空母は約4万3000海里近く航行した。

6カ国の艦隊で合同演習

横須賀への帰路についていた9月中旬、空母「ロナルド・レーガン」は「カール・ヴィンソン」打撃群や英国空母「クイーン・エリザベス」打撃群などからなる6カ国合同演習に参加した。海上自衛隊はヘリコプター搭載護衛艦「いせ」をはじめ、「きりしま」、「やまぎり」の3隻の護衛艦を派遣した。そのほかにはオランダ、カナダそしてニュージーランドも参加した。

艦隊とその上部を飛行する艦載機(@HNLMS_Evertsen、エファーツェン艦公式ツイッターより)

米海軍によると、6カ国演習に参加した艦船の数は17隻、乗組員の数は1万5000人以上にのぼる。この演習により、米海軍は地域の安定に対する米国の貢献を実証し、持続的な戦力投射能力を世界に知らしめたという。

空母「ロナルド・レーガン」に搭乗するネイサン・ムーア中佐は、「マラッカ海峡、インド洋、アラビア海、そして南シナ海における安全な航行を通じて、自由な航行と海の交通網を維持することの重要性を示すことができた。このことはインド太平洋地域で特に重要だ」と述べた。

地域の不測の事態に対応

空母「ロナルド・レーガン」は8月、インド洋海域でアフガニスタンからの撤退作戦に参加し、7000人以上の米国民等を輸送した。艦長のゴールドハンマー大佐は「乗組員による献身的な努力と比類のない能力により、アフガニスタン戦争の終盤に邦人救出作戦を遂行することができた。そして、前方展開する海軍戦力の柔軟で比類のない能力を示すことができた」と述べている。

空母は横須賀港へ帰還した後も、危機やその他の任務に迅速に対応できるよう戦闘能力を維持する。乗組員も高い強度の訓練を通して戦闘力を維持し、地域の不測の事態に対応しうる姿勢を保つ。

米海軍はプレスリリースの最後で次のように述べた。

「ロナルド・レーガン空母打撃群は、自由で開かれたインド太平洋地域を支援するために、米海軍第7艦隊の作戦地域に前方展開されている。第7艦隊は、世界最大の前方展開艦隊であり、35カ国からなる同盟の支援により、70年以上にわたってインド太平洋地域で活動してきた。そして地域の平和を維持し、紛争を防ぐ信頼できる軍事力であり続ける」。

(王文亮)