中国の不動産業界では債務危機が拡大している。業界大手の恒大集団に続き、不動産開発大手「花様年控股集団」は4日、同日に期日を迎えた約2億ドルの社債を返済できなかったと発表した。同社の実質的所有者で、曽慶紅元国家副主席の姪である曽宝宝氏が7日、国内SNS上で「専門のことはプロに任せるべきだ」と投稿したことが波紋を広げている。
曽宝宝氏は同投稿の中で、中国の慣用句「屁股決定脳袋」(人が就いている地位やポジションによって、考え方や物事の見え方、思想範囲が決まる)を引用し、同社の債務問題を高いポジションに就いている人に「委ねよう」と示した。
曽宝宝氏の父、曽慶淮氏(80)は曽慶紅氏の弟で、中国文化部(省)の特別巡視員、中華民族促進会副会長、文化部駐香港特派員などを務めた。兄の関係で、曽慶准氏は過去に中国国内や香港の芸能界を牛耳っていたとされる。
曽宝宝氏は1996年に花様年集団を創設した。2020年、中国不動産企業ランキング「100強不動産企業」で、同社は第51位となった。
中国金融学者の陳有成氏は7日、米ラジオ・フリー・アジア(RFA)の取材に対して、曽氏の投稿は「習近平指導部に妥協することを暗に示した」とし、「今後、花様年集団における自身の主導権や支配権を少しずつ手放して、同社の株式を当局に譲渡するだろう」と話した。
陳氏は、「あの慣用句の引用から、曽宝宝氏が(曽慶紅氏という)頼みの綱を失いつつあることが読み取れる」と指摘した。同氏は、中国共産党指導部における権力闘争は、恒大集団や花様年集団を含む不動産業界にも広がったとの見方を示した。
「曽宝宝氏は、伯父で江沢民派のナンバー2とされる曽慶紅氏の威光を笠に着ることができなくなった」
2013年に発足した習近平政権は反腐敗キャンペーンを展開し、最高指導部である党中央政治局の元常務委員、中国軍のトップ、省レベルの高官、元司法相、証券規制当局のトップを含む数千人が汚職を摘発され、次々と失脚した。その大半は江沢民派のメンバーである。
陳氏によると、習近平氏は江沢民派の政治的影響力を排除する中、江派が掌握する不動産企業などを「敵対勢力」と見なし、法改正や規制強化などを通じて、締めつけを強めている。
「特に江沢民氏や曽慶紅氏らの中国国内の各セクターにおける投資状況、株式の保有状況などを調べる必要がある」
陳氏は、「逆に当局が敵対勢力としていない不動産企業は、無傷で済む」との見解を示した。花様年集団について、今後は半官半民の企業、または完全に国有化される可能性が高いと同氏は推測した。
(翻訳編集・張哲)
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