20日、東京都内の自民党党本部で党青年部・女性部主催の公開討論会が開かれ、自民党総裁選に出馬する4候補が政策や理念を語った。日本の政治家は男性議員が8割〜9割(衆院議員は90%、参院議員は77%)を占めており、女性議員は欧米諸国と比して少ない。公開討論会のなかで、女性の政治参画についてのテーマでは、各候補が自身の体験を踏まえて対応・対策を述べた。
最初に発言した岸田文雄氏は、自身が外相を務めた時期に行われた日豪2プラス2(2017年4月)での経験を語った。オーストラリア側はビショップ外相、ペイン防衛相でいずれも女性だった。日本の防衛相も稲田朋美氏だったため、4人のうち3人は女性だった。これを踏まえて岸田氏は、今後は女性の閣僚がさらに増える時代になるだろうと話し、女性の政治参加をサポートする環境整備、学童保育の充実などを挙げた。
高市早苗氏は総務大臣時代に、女性候補者の創出のために行った事務手続き簡素化の実現例を紹介。「(立候補にあたり)旧姓を使用したいが提出書類が多すぎるとの声を受けた。戸籍の提出一つで済むように」工程の簡略を実現したという。このほか、高市氏は、自身が女性議員として、性的内容が書かれた怪文書が出回るといった嫌がらせを受けた体験を明かした。自民党運営のなかで、こうした誹謗中傷に対して法的措置を取ることを検討するなどして対応策を強化し、女性候補を応援したいと述べた。
野田聖子氏は、「国会はそもそも母親が働くという仕組みにはなっていない」と制度の不備を指摘。「大臣の代わりは副大臣ができるが、母親の代わりになる副母親はいない」と述べ、家庭の役割に応じた柔軟な対応が必要だと語った。「例えば、朝8時の部会に参加するのに、子供の送り出しは不可能。デジタル化の進んだ今なら、8時部会はすべてオンラインにする、また、採択もオンラインでできるようにするなどの工夫を凝らせば、母親であっても国会議員の責務を果たすことができる」と具体案を示した。
河野太郎氏は、自民党中央政治大学院長を務めていた時、各都道府県連に候補者を養成する政治塾を作ったことを掲げた。そのなかで、女性入塾者の参加を促し、卒業生が選挙に出馬する際には県連がバックアップして支援を行うことを提案した。さらに、「産後3日目に採決のために議会に出席したとの例も聞いている。制度整備をバックアップする必要がある」と述べ、産休・育休体制を整備することの重要性を強調した。
(佐渡道世)