台湾は米英豪の新枠組み「AUKUS」を歓迎し、今後も米国および欧州連合(EU)との外交関係を深めていくことを望んでいると表明した。この数か月で、3カ国やEUが台湾の安全保障や貿易についての言及が増えている。
米英豪は15日、インド太平洋の安定に向けた新たな安全保障の枠組みを発表。急速に軍事力を拡大する中国を念頭に、米英が豪の原子力潜水艦導入を支援すると表明した。豪は、原子力潜水艦には通常兵器のみを搭載し、核兵器はないとしている。
AUKUSの誕生について、台湾外務省の欧江安報道官は、台湾は長らく3カ国とインド太平洋地域の平和と安定に関する価値観を共有していると強調した。
民進党の王定宇議員は、ラジオ・フリー・アジア(RFA)に対して、AUKUSの動きは南シナ海における中国の軍事拡張を封じ込めや、台湾への武力侵攻といった脅威を想定しているだろうと語った。
EUや米豪、台湾の存在に積極的な言及
9月16日、米国務省で開催された米豪外務・防衛閣僚協議(米豪2プラス2)では、両政府は、インド太平洋地域における台湾の重要な役割を強調し、国際機関への参加を支持すると述べた。
さらに、EUが同日発表したインド太平洋地域戦略文書では、EUがインド太平洋地域のパートナーと協力して貿易関係の強化と多様化を図り、半導体のサプライチェーン強化策として日本と韓国、台湾と協力していくと記している。
欧州議会外交委員会は9月1日、EUで初となる台湾との政治関係に関する報告書を圧倒的多数(全70票のうち60票賛成)で採択。投資協定や、台湾にあるEU代表事務所に「台湾」の名前をつけることなどを推奨した。この文書には、中国による台湾への圧力について批判する文言も加えている。
EUはさらに、中国の「著しい軍備拡大」と「軍事力の誇示」、そして南シナ海や東シナ海、台湾海峡などの緊張の高まりは、欧州の安全と繁栄に直接的な影響を及ぼす恐れがあると指摘した。
安全保障において、EUは海賊対策と航行の自由を守るために、多国間演習やインド太平洋のパートナーとの共同演習や寄港を増やし、この地域における海軍外交を強化していくとした。
(翻訳・山中蓮夏)
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