7月に中国系企業に買収された英半導体受託製造最大手、ニューポート・ウエハー・ファブ(Newport Wafer Fab,NWF)は、米同業大手iDEALとの業務提携を一方的に破棄したという。iDEALが8月13日に明らかにした。
iDEALによると、中国の所有するオランダ企業ネクスペリア(Nexperia)に買収されるまでにNWFは、iDEALのシリコンウエハーの加工を下請けしていた。先月、NWFは突然、iDEALに下請け業務の中止を宣告してきたという。
iDEALのマーク・グラナハンCEOら経営陣は米ニュース専門放送局CNBCの取材に、「通常、1カ月〜1年前に、業務提携の中止を通知する」と、NWFの電話一本による突然の連絡に遺憾の意を表し、新たな下請け先探しが難航していることを明らかにした。
このことについて、ネクスペリアはCNBCの取材要請に応じなかった。
ネクスペリアの親会社、中国聞泰科技(ウィングテック)は中国大手通信機器メーカー、華為技術(ファーウェイ)の仕入先である。
100%中国資本のネクスペリアによるNWFの買収は、米中関係が対立し、米政府が半導体産業で中国に積極的に制裁を科す時期と重なったことから、関心をよんでいる。
同買収案は当初、クワシ・クワルテング英産業戦略相の承認を得たが、その後、ボリス・ジョンソン英首相は、国家安全保障上の理由で、国家安全保障担当補佐官のスティーブン・ラブグローブ卿に、調査を命じた。そのため、買収案が白紙撤回になる可能性があり、結論は数週間以内に出されるとみられる。
一部の報道によると、英政府はネクスペリアにNWFの売却を求める可能性がある。それを見込んで、英国チップ業界の老舗、イマジネーション・テクノロジーズのロン・ブラック元CEOは、NWFの買い戻しに意欲を見せている。
中国は半導体チップ技術において他国に大幅の遅れをとっているため、外国半導体メーカーの買収、政府系投資ファンドを通じて同業界の活性化を目指している。過去10年間、中国国営企業はヨーロッパの半導体メーカーの株を買いあさり、半導体チップ産業をその産業戦略の中核に置いてきた。
(翻訳編集・叶子)
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