「中国は数年後に核兵器で米国を威圧できる」専門家が警告

2021/08/08
更新: 2021/08/08

中国が秘密裏に核戦力を拡大しているという最新の報告書を受けて、専門家らは、中国は早ければ数年後には米国を威圧するほどの核戦力を持つ可能性があると見ている。

米国科学者連盟(FAS)が7月26日に発表した報告書によると、中国は新たに約250基のサイロ(大陸間弾道ミサイル(ICBM)を貯蔵、発射できる地下施設)を建設していることが明らかになった。同シンクタンクによると、これはロシアが運用するすべてのサイロ型ICBMより多く、米国のICBM戦力の半分を上回る。

同報告書は、「中国のミサイルサイロ計画は、冷戦時代の米国とソ連のサイロ建設以来、最も大規模なものだ」と指摘した。

衛星写真で確認されたところによると、新たに建設されているサイロのうち約110基は、新疆地域の東部にあるクムル市の近くにあるという。その他の約120基は、新疆に隣接する甘粛省の玉門市で発見されている。

報告書は、「玉門市とクムル市のサイロ建設は、中国で今まで最も大規模な核戦力の拡大である」としている。

核による威圧

バージニアに拠点を置くシンクタンク「International Assessment and Strategy Center」のシニアフェローであるリック・フィッシャー氏は大紀元に対し、今回のサイロの発見で明らかになったのは、中国軍が「3,000発以上の核弾頭の保有を目指している可能性がある」ことだと述べた。

「中国は今、核弾頭で優位に立とうと全力を尽くしている」と彼は電子メールで述べた。

ワシントンDCのシンクタンク「ヘリテージ財団」の核抑止・ミサイル防衛政策アナリスト、パティ・ジェーン・ゲラー氏は、「中国の秘密裏の建設が発見されたことで、中国が核戦力を構築するために、国際社会の知らない他のこともしているのではないかという疑問が起こった」と指摘した。

ゲラー氏は、中国が保有する核弾頭の数は約350発であり、米国とロシアが保有する核弾頭の数分の一にも満たないという推定を理由に、中国の脅威を一蹴する者もいると指摘した。しかし今回の調査結果は、数字だけを見てはいけないことを示しているとゲラー氏は述べた。

「彼らを核兵器が少ない国とみなすことはできない。もっと真剣に考えるべきだ」と同氏は大紀元に語った。

「ほとんどのアメリカ人は、強い軍事力で米国を威圧できる中国と共存してもいいと思わないだろう」

フィッシャー氏によると、「米国が今すぐ対抗措置を取らない限り、早ければ2020年代半ばには」中国から『核による威圧』を受け始めるかもしれないとう。

中国がロシアと手を組んで核戦力を結合すれば、脅威はさらに高まる。例えば、中国が台湾を攻撃した場合、「将来の弱小な米国大統領が台湾の防衛のためにやって来る」のを防ぐことができる、と彼は述べた。

「米国が迅速に対応しなければ、戦略的に劣等になり、中国やロシアによる恒常的ないじめ、さらには核攻撃の時代に直面することになるだろう」とフィッシャー氏は述べた。

大陸間弾道ミサイル「DF-31 AG」を搭載した軍用車両。2019年10月1日、北京の天安門広場の軍事パレードで撮影(Greg Baker/AFP via Getty Images)

米戦略軍からの警告

ゲラー氏は、今回のFASの報告書は、米国の核兵器を管理する米戦略軍のチャールズ・リチャード司令官の警告を裏付けていると述べた。

リチャード司令官は4月の議会公聴会で、中国の核備蓄は「前例のない拡大」をしており、「2030年までに核備蓄を倍増させるペースだ」と述べた。

さらに、中国は地上発射、潜水艦、爆撃機という完全な核戦略の三本柱を配備しようとしていると付け加えた。

「中国は現在、妥当な核戦略を地域的に実行する能力を持っており、近いうちに大陸間で実行できるようになるだろう」とリチャード司令官は述べた。

新たな道筋

米国は、中国の軍事的脅威の高まりに直面し、新たな道筋を示す必要がある。

「将来の中国とロシアの核の脅威から米国を守るために、バイデン政権は当初の核削減政策を逆転させ、冷戦以来最も積極的な核の増強を主導しなければならないだろう」とフィッシャー氏は述べた。

1月の就任後、バイデン大統領は2026年2月5日までの5年間、「New START」条約を更新した。同条約は2010年に調印され、ロシアと米国の核弾頭数を1,550発以下に制限している。

フィッシャー氏は、同条約は「もはや米国の安全保障を前進させるものではない」ため、破棄しなければならないと述べた。

三国間の軍備管理交渉に中国を参加させる努力がなされてきたが、中国政府は自国の核弾頭の数は米国やロシアに比べて低い事を理由に参加を拒否した。

(大紀元日本ウェブ編集部)