ハンガリー議会、中国の大学に国有地寄贈を承認 市民の反対押し切り

2021/06/17
更新: 2021/06/17

ハンガリー議会は15日、首都ブダペストの国有地を上海の復旦大学に寄贈し、同大キャンパスを設置するという政府案を承認した。同国では、キャンパス建設計画に市民らが猛反発し、オルバン首相は10日、住民投票で是非を問う方針を表明したばかりだった。

オルバン首相率いる市民連盟の議員らは、ドナウ川沿いの4区画の土地を復旦大学ブダペスト基金に寄付することを圧倒的な賛成多数で決定した。当初予定されていた学生寮の建設が中止になった。

16日付のドイツの国際放送ドイチェ・ヴェレによると、この議会の動きは、野党からの批判や過去数週間にわたる大規模な抗議デモを無視したものである。ハンガリー政府は北京に迎合していると非難されている。

反対派は、20億ドル(約2212億円)を投じた復旦大学のキャンパスが、ハンガリーの高等教育の質を低下させ、ハンガリーやEUにおける北京の影響力の増大につながると懸念している。

オルバン政権は、ハンガリーの経済成長が海外からの投資に依存していることから、復旦大学が新たな研究開発センターや新規投資の誘致に役立つと主張している。

ハンガリーの法律では、政府は2022年末までにコストを含むプロジェクトの最終計画を国会に提出しなければならない。

ブダペスト市長のゲルゲリー・カラクソニー(Gergely Karacsony)氏は、選挙前にキャンパス建設の是非を問う住民投票を実施するよう求めている。同氏は来年の総選挙で、野党からの出馬を目指している。

カラクソニー氏は14日、自身のFacebookに「ブダペスト市民はすでに政府の計画に反対を表明しており、96%の市民が地元の学生寮の建設予定地に中国共産党の大学が建設されることを望んでいない」と投稿した。

一方、野党は来年4月の総選挙の前に住民投票の実施を求めている。

(翻訳編集・王君宜)