拘束から2年「袁克勤教授を救う会」が会見 息子や教授らが早期解放を求める

2021/06/01
更新: 2021/06/01

北海道教育大に勤務していた袁克勤(えんこくきん)元教授が中国当局によって2年あまり拘束されている事案について、長男の袁成驥(えんせいき)さんと支援者の大学教授が5月31日、衆議院議員会館記者会見を行い、袁氏の早期解放を訴えた。

会見に臨んだのは、袁さんの長男の袁成驥さん、「袁克勤教授を救う会」の佐々木卓也教授(立教大学)、そして鈴木賢教授(明治大学)だ。成驥さんは「父親は中国当局の取り調べに屈することなく、冤罪を晴らすために一人で耐え続けている。日本の情報機関と長期間かかわりを持っていたという事実は信じられない。今後も父の無罪を発信し続けていく」と述べた。

袁さんは2019年5月、故郷の吉林省長春で開かれた母親の葬儀に参加するため一時帰国した際、拘束された。中国当局は2020年3月、袁さんにスパイ容疑があると発表し、取調べを行なっていることを明らかにした。そして今年5月、中国当局は袁さんを日本当局のスパイ容疑で起訴したと発表した。

佐々木卓也教授は「袁さんは四半世紀に渡り日中の学術交流を進めてきた」とし、袁氏の拘束は学術交流に壊滅的な影響を与えたと話した。「袁さんが日本政府のスパイであるという指摘は、事実から遠くかけ離れている」と述べ、袁さんの解放を支持する署名が多く届いていることを紹介した。

鈴木賢教授は記者会見で、中国国内のウェブサイト上で袁克勤元教授を漢奸(ハンジェン、中国人の裏切者の意)と罵る声が多くなっていることに言及。中国当局に対して、袁さんの逮捕を感情的に扱わないよう求めた。

記者会見に臨む鈴木賢教授(王文亮/大紀元)

息子の成驥さんには、5月9日、中国にいる弁護士から連絡が入り、袁氏との接見できたとの報告を受けた。弁護士によると、袁氏の健康に問題はない様子だという。

鈴木教授は、この弁護士の連絡が入るまで「袁克勤先生がご存命かどうかすら分からなかった」と明かした。中国当局に対して、弁護士や家族との接見等の訴訟上の権利を保障し、今後の裁判のスケジュールを告知することを訴えた。

また、鈴木教授は、袁さんは日本のスパイではないということを日本政府が公式に発表するよう提言した。

記者会見後、鈴木教授は大紀元の取材に対し、「今後、中国は法的手続きに入る。無茶なことをしないよう監視していくつもりだ」と述べた。

そのうえで鈴木教授は次のように語った。

「日付で以て始まったものは日付を以て終わる。中華人民共和国が終わったときに、真の友好関係が始まると思う。その時に、日本人は中国の民主化に全く協力しなかったのではないか、と言われることがないようにしなければならない。今のうちからポスト共産党の時代を考え、共産党に迎合するのではなく、中華人民共和国の後のことを見据えていくべきだと思う」。

(王文亮)