初の日米豪印首脳会談 インド太平洋の「新たな夜明け」

2021/03/26
更新: 2021/03/26

通称「Quadクアッド)」として知られる日米豪印戦略対話(4か国戦略対話)に参加する民主主義国のオーストラリア、インド、日本、米国の首脳陣が、2019新型コロナウイルス急性呼吸器疾患(COVID-19)パンデミック対策を主導しながら「インド太平洋地域の平和と安定の支えとなる」ことを、初の日米豪印首脳会談で再確認した。

2021年3月12日、非公式な安保同盟を結ぶ4か国のスコット・モリソン(Scott Morrison)豪首相、ナレンドラ・モディ(Narendra Modi)印首相、菅義偉首相、ジョー・バイデン(Joe Biden)米大統領は仮想形式で開催された首脳会談後、拡張主義勢力をますます強化する中華人民共和国(中国)問題に直面している状況を受け、「国際法を基礎とした法治に基づく秩序と自由で開かれた環境を推進することで、高度な安保と繁栄を促進し、インド太平洋全域と他地域の両方に対する脅威に対抗すること」に取り組む姿勢を示した。 4か国の首脳陣は、「日米豪印は法規範、航行の自由と領空通過権、紛争の平和的解決、民主的価値観、領土保全を支持する」と述べている。

さまざまな地域や世界的な課題に取り組む首脳陣は、以下の点で協力することで合意している。 世界保健機関(WHO)の改革要請を継続しながら、2022年末までに最大で10億投与分の新型コロナウイルス感染症ワクチンをインド太平洋諸国に提供する。

2021年2月のクーデターにより国軍が政権を掌握したビルマの「民主主義回復に対する緊急の必要性」を強調する。 引き続き北朝鮮の非核化を追求する。 緩和、回復力、技術などを通じて気候変動に関する「世界的優先事項」に対処する作業部会を設立する。

ASEAN(東南アジア諸国連合)加盟諸国の中心的な役割を支える。 領有権を主張する諸国の領土権を中国が侵害している東シナ海と南シナ海の法治に基づく海上秩序を保護する。 首脳陣はまた、継続的な提携分野として、サイバー空間、テロ対策、技術、人道支援・災害救援(HADR)を特定している。東南アジアを壊滅的な津波が襲った「2004年スマトラ島沖地震」への対応により結束が強化されたことを指摘した日米豪印は、今日の莫大な課題を認識し、「この野心な取り組みは現在の情勢に適っている。日米豪印はこの同盟を活用して、世界で最も動的な地域が従来から頻繁に発生している危機に対応できるよう支援することを誓約する。これにより、誰もが求めるように自由で開かれ、近親感があり、そして多様かつ繁栄したインド太平洋地域を確立することができる」と発表している。

首脳会談の共同声明の中には中国についての言及はないが、米国のジェイク・サリバン(Jake Sullivan)国家安全保障問題担当大統領補佐官は記者会見で、日米豪印の首脳陣は「中国によりもたらされる課題についても協議し、中国についてはもはやどのような幻想も抱いてはいないことを明らかにした」と話している。4か国は民主主義が「独裁政治」には負けないことを繰り返し強調している。

首脳会談が開催される直前、国家安全保障戦略に関する暫定的な指針を発表した米国政府が中国を「今世紀最大の地政学的試練」として特定したことで、日米豪印戦略対話にも新たな活力が芽生える見通しとなった。 全米外交政策委員会のロリー・ダニエルズ(Rorry Daniels)アジア太平洋安保アナリストはサウスチャイナ・モーニング・ポスト(South China Morning Post)紙に対して、「中国にとっての課題は、自国権力の使用にある程度の制約を伴うとしても、法治に基づく国際秩序に再び準拠する覚悟があるかどうかである」と述べている。 中国当局は日米豪印戦略対話を「閉鎖的かつ排他的な小さな派閥の形成」と表現して、史上初の日米豪印首脳会談の価値を低下させることを望んでいる。

中国大使館によると、中国外務省の趙立堅(Zhao Lijian)報道官は3月15日の定例記者会見で、「かなりの間、特定諸国はいわゆる『中国の脅威』を誇張して非常に熱心に誇大宣伝することで、地域諸国間の不和要因をまき散らし、特に中国と諸国の関係に混乱をもたらしてきた」と話している。

首脳会談の約1週間後、米中はアラスカで高官協議を実施した。これはバイデン大統領が2021年1月に就任して以来、初の米中対面会議となる。米国代表はますます高まる中国の主権主張に対する日米豪印戦略対話側の懸念を表明した。 首脳会談後、ロイド・オースティン(Lloyd Austin)国防長官やアントニー・ブリンケン(Antony Blinken)国務長官を含む米国高官等はインド、日本、韓国を訪問し、各国と対面での外務・防衛閣僚会合を行っている。

3月16日、東京において茂木敏充外相と岸信夫防衛相を交えて実施された外務・防衛担当閣僚会合(2プラス2)において、高官等は日本が実効支配する東シナ海の尖閣諸島近辺への中国海警局の侵入など、中国の違法な領有権主張と攻撃的な海事活動に対する懸念を表明した。中国は尖閣諸島を自国領土と主張している。

共同声明によると、日米高官等は「米国の日本防衛義務について定めた日米安全保障条約第5条の尖閣諸島などへの適用」を改めて確認している。 また、日米はモリソン豪首相が「インド太平洋の新たな夜明け」と表現した今回の歴史的な日米豪印首脳会談の協議内容を発展させるため、2021年後半に日米外務・防衛担当閣僚会合を改めて開くことでも合意している。

(Indo-Pacific Defense Forum)

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