中国の長江中下流地域は昨夏、豪雨で深刻な洪水被害に見舞われたことで注目を集めた。このほど、中国国内ネットユーザーが撮影した映像では、湖北省武漢市の長江の一部流域で現在、水が枯れ、完全に露出した川底が砂漠のようになっていることがわかった。
米ラジオ・フリー・アジア(RFA)は15日ツイッターに、このネットユーザーが撮影した動画を投稿した。映像の中で、武漢市天興洲を流れる長江では、水の流れが完全に止まり、車が干上がった川底の上を走行している様子があった。
武漢市で生活したことのある独立経済学者「冷山時評」は、15日のツイッターで、長江の映像に「驚いた」と述べた。同氏によると、武漢市の長江流域は冬になると、渇水期に入る。「私が住んでいた当時、渇水期でも多少の水が流れていた。完全に干上がることはなかった」という。
同氏は、三峡ダムがこの状況を発生させた主因だと指摘した。中国当局は、長江の増水期に三峡ダムから放水を行い、下流地域に洪水被害をもたらした。渇水期には、三峡ダムで発電を行うために水を貯め、下流の水不足をより深刻化した。
ドイツ在住の中国水利学者、王維洛氏は17日、ネットユーザーが投稿した武漢市の長江の映像について「本物だ」と大紀元に語った。
王氏によると、武漢市を流れる長江の真ん中に中洲がある。この中洲はネットユーザーが撮影を行った天興洲である。この中洲によって、長江は2つの水流に分かれた。1本の水流が主航路に、もう1本は副航路となった。
「主航路の水位は比較的深いが、副航路の水位は浅い。このネットユーザーが撮影したのは副航路のほうだ」
王氏は、映像中の川底にある土砂の状態から、昨年の大洪水の際、上流から流れ込んだ新しいものだと述べた。
また同氏は、中国当局が本来三峡ダムを建設した目的は、長江の増水期に洪水を防ぐために貯水し、渇水期になると放水して下流の水不足を解決することだった。「しかし今、三峡ダムはこの役割を果たしていない。むしろ、増水期に放水して、渇水期に貯水することで逆行している」
王維洛氏は、問題の根本は、中国当局の「自然改造」「人は必ず天(自然)に勝つ」という思想にあるとの見方を示した。
中国版ツイッター、微博(ウェイボー)では1月26日、武漢市民が天興洲と武湖地域を流れる長江の様子を捉えた動画を投稿した。この中では、長江はほぼ枯渇し、川底が砂浜になっていた。市民は「前世紀、冬季でも船は天興洲の周りで通行できた。あの時、水の流れは速かったし、スナメリの群れもあった」と話した。
中国メディア「長江網」は昨年12月、武漢市長江の水位が下がり始め、長江中下流が渇水期に入ったと報じた。これ以降、中国メディアの中で、武漢市を流れる長江についての報道は見当たらなかった。
(記者・駱亜、翻訳編集・張哲)
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。