政府、国際連携を強化 バイデン政権の対中消極姿勢受け=分析

2021/03/14
更新: 2021/03/14

日米豪印4カ国戦略対話(QUAD/クアッド)の初の首脳会合は3月12日、オンライン形式で開催された。今回の会合の背景には、国際連携を強化することで、対中問題に積極的に対応するよう米国に働きかけたいという日本政府の意向があったとの分析もある。

産経新聞台北支局長の矢板明夫氏は11日、新唐人テレビ(NTD)の時事番組「新聞大破解」にゲスト出演した際、4カ国戦略対話は日本政府がバイデン政権対中消極姿勢を懸念し、国際連携を深めることで中国共産党(以下、中共)の脅威に積極的に対処するよう米国に求めていることを示すものだと分析している。

分析では、4カ国戦略対話に加えて、岸信夫防衛相は、イギリス、フランス、ドイツなどに、中共に対抗するためにインド太平洋地域に艦隊を派遣するよう働きかけるなど、渉外活動を積極的に進めているということも取り上げられた。

バイデン政権の対中消極姿勢

同氏によると、4カ国戦略対話はトランプ前政権の政治的遺産の一つだ。トランプ氏は積極的に対中包囲網を構築し、中国共産党政権を米国の安全保障に対する最大の脅威と位置づけ、対中全面対決姿勢のみが米国とその同盟国を守ることができると認識している。

「トランプ氏と違い、バイデン氏の対中姿勢は消極的だが、親中派という評判を背負いたくない」と矢板氏は語った。バイデン政権は、中共を積極的に封じ込めようとしているのではなく、中共の挑発に遭遇したときに、批判を避けるために反撃の姿勢をとっているだけだ。それは、反中共であれば有権者の票を獲得できるということが、今では世界中で知れ渡っているからだ。親中派や対中融和の姿勢は、各方面からの批判を招き、それをバイデン氏は最も恐れていると指摘。

バイデン政権の閣僚たちは、米議会の公聴会で対中強硬発言を繰り返した。というのも、現在の米国議会は対中強硬姿勢で臨んでおり、新政権の幹部は議会にアピールしないと人事が通らないからだ。しかし、実際には、バイデン政権は発足以来、中国共産党を封じ込めるための有効な政策を打ち出していないという。

矢板氏は「中国(共産党)は、バイデン政権の対応を試していたが、バイデン政権は口先だけで行動が伴わないようだということがわかった。例えば、ミャンマーでは軍事クーデターによる政情不安が発生し、香港では民主派議員ら47人が起訴されたが、米国はわずかな制裁を除いて、具体的かつ効果的な行動をとっていない」と述べた。

「封じ込めるのではなく、交渉力を高めるため」

4カ国首脳会合が発表された3月10日、米国務省は、米中両国が3月18日にアラスカで外相級の高官協議会談を行うことを発表した。パンデミック、気候変動、香港・台湾問題、対豪経済封鎖などが話題になる見通し。バイデン政権発足後、米中外交トップが対面で会談するのは初めて。

米有力シンクタンク、ハドソン研究所アジア太平洋安全保障部長のパトリック・クローニン(Patrick Cronin)氏は米政府系ラジオ・フリー・アジア(RAF)の取材に対し、米中初の外交トップ会談の時期について、バイデン政権は「中国(共産党)を封じ込めようとしているのではなく、中国との会談の前に同盟関係を強化することで交渉力を高めようとしている」と語った。

4カ国戦略対話は、2007年5月、安倍首相(当時)の提案により、「インド太平洋」地域における中共への牽制を目的として発足した。設立後、中国共産党の抗議により一時期中断していたが、2017年11月に当時のトランプ政権が提唱した「インド太平洋戦略」の下で復活した。これまで外相級にとどまっていた会談が、首脳級に格上げされたことで注目を集めている。

(翻訳編集・王君宜)