国際女性デーの前日にあたる3月7日、中国共産党政権により迫害されているウイグル人女性やチベット人女性らは、渋谷にある国連大学の前で「中国共産党に弾圧された女性たち」と題する抗議活動を行った。主催団体は「中国共産党による女性の人権弾圧に抗議する声明文」を発表し、中国政府に対して人権弾圧とジェノサイドを即刻停止するよう求めた。
活動に参加したウイグルやチベット、モンゴル、香港人の女性たちは、中国共産党の弾圧により犠牲になった女性の写真を掲げ、悲惨な現状を訴えた。そして「私たちにも生きる権利はある。沈黙することが中国共産党の暴行をますますひどいものにする。日本と国際社会にしっかり態度を示してほしい」と強く訴えた。
大紀元は活動に参加した女性に話を聞いた。
日本ウイグル協会理事「当時声を上げていれば」
活動を主催した日本ウイグル協会のグリスタン・エズズ理事は、日本の世論が少しずつ変わってきていることを感じると話す。「中国共産党がウイグル人に対して、システム的、大規模的に弾圧していることを日本の方々が知り始めてきた。そして、中国のやり方に反対の声を上げる方が多くなってきた」
中国共産党政権は近年、労働教養制度を廃止すると公言したが、現状はどうか。エズズ氏によると、新疆ウイグル自治区では各地に強制労働キャンプが建設されている。「強制収容所はいまだ閉鎖されていない。子供たちも言語を奪われ、教育も全部中国語だ。ウイグル文化が破壊されている。このままいくとウイグルという民族が滅ぼされてしまう」とエズズ氏は訴えた。そして「抑止するためにも、ジェノサイドを止める声を上げていただきたい。日本の国会でも強く訴えていきたいと思う」と語った。
同じく中国共産党により迫害されている法輪功学習者について、エズズ氏は「法輪功の方々が弾圧されて内臓を取られていたとき、私たちウイグル人はそれを知らなかった、そして声を挙げなかった。そして被害はチベットやウイグルに広がり、多くの人が内臓の不法売買の犠牲となった」と述べ、人権問題を他人事として考えてはいけないと警鐘を鳴らした。
「当時私たちが声を挙げなかったことにより、われわれにも被害が来ている。すべての人々は人間である。すべての人に生きる権利がある」とエズズ氏。「中国共産党が政権を維持するために、法輪功やほかの少数民族を弾圧するのは許しがたい。法輪功の方々のためにも声を上げていきたいと思う」
清水ともみ氏「一番恐ろしいのは環境」
書籍『命がけの証言』や『私の身に起きたこと ~とあるウイグル人女性の証言~』を通して、ウイグルでの人権侵害を訴えてきた清水ともみ氏も現場に駆け付けた。
清水氏は、ジャーナリストから新疆ウイグル自治区の空港には臓器専用通路があると聞いたことがきっかけで独自の調査を開始した。信じられないという思いはあったものの、調査を進めていくにつれ、居ても立っても居られなくなったという。
「何より恐ろしかったのは、その恐ろしいことが隣の国で起きているのに、それを全く知らないで暮らしている私たちがいる。この環境が一番恐ろしい」と清水氏は述べた。
同じく中国で迫害されている法輪功学習者について、清水氏は「法輪功という教えのなかで、良心、善の心というものがある。人として良くあろうとする方々が迫害されている。中国共産党の考えは善の方向とは真逆のもの、闇そのものを示すということだと思う」と述べた。
そして、日本にはできることが多いと清水氏は話す。「役所は、法整備が整っていないからできないとか、いろいろな理由を述べている。しかし、言葉にしなくても、姿勢や態度、日本の国家としての姿勢を示すだけで、迫害されている方はすごく多いと思う」と清水氏。そのうえで、「(大臣は)役人が書いた原稿を読みながら、あたりさわりのない、中国に配慮した原稿を見ながら読む様子を世界に配信していては中国に味方するようなもの。大臣が人間としてどう思うか、それを伝えるだけで全く違うと思う。方向性を示すだけで違うと思う」と述べた。
(王文亮)
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