60%のアメリカ人がマスコミを信用していない=米世論調査

2021/01/07
更新: 2021/01/07

アメリカでは主要メディアに対する民衆の信用が失墜している。世論調査会社「ギャラップ(Gallup)」が発表した調査報告によると、60%ものアメリカ国民がメディアを信用していないと回答した。なかでもメディアを「全く信用しない」との回答が前年比5ポイント増加して33%になり、最も高い値を記録した。

ギャラップ社の世論調査は2020年8月31日~9月13日に行われた。メディアを「完全に信用する」との回答は9%、「ある程度信用する」は31%だった。一方、「あまり信用していない」との回答は27%、「全く信用していない」は33%に上った。

今回の調査結果で特筆すべき点として、メディアに対する信用度合は回答者の政治的傾向と深く関係していることが挙げられる。

共和党を支持する回答者のうちメディアを「完全に信用する」または「ある程度信用する」と答えたのは10%だったのに対し、「全く信用していない」との回答は58%に上った。一方、民主党支持者でメディアを信用すると答えたのは73%だった。

ギャロップ社はある声明において次のように述べている。「メディアが公平に、そして正確に報道を行うことに対するアメリカ人の信用は、過去十数年間低迷する一方であり、改善されるめどがたたない。なぜなら共和党支持者と民主党支持者のメディアに対する信用度は真逆の方向に向かっているからだ」「全米を覆う政治の両極化は、異なる党派の支持者のメディアに対する見方にも表れている。ギャロップ史上これほど著しい分断は見たことがない」

共和党支持者のメディアに対する信用度合は、ジョージ・ブッシュやバラク・オバマが大統領だったときから低下し始めた。当時の平均的な信用度合は30%~35%だった。そして、共和党支持者がメディアを信用しなくなったのは2016年以降であり、2018年を除いて信用度合は15%に満たなかった。

同じような傾向は民主党支持者にも見られる。ギャロップ社によると、民主党支持者のメディアに対する信用度合は全体的に大きく変化していないが、12%の民主党支持者が「完全に信用している」から「ある程度信用している」に変わった。

ギャラップ社がメディアに対する信用度を調査し始めたのは1972年。1970年代から1980年代にかけて、メディアに対する信用度は68%~72%と高かったが、1990年代から低下し始め、2000年代なかばから50%を割り込むようになった。このような傾向に対しギャラップ社は、アメリカ人はメディア報道における偏向性に気づいているものの、独立したメディアは民主主義に欠かせないと信じている、との見方を示している。

(翻訳・文亮)