中国国内ネット上ではこのほど、広東省深セン市に本社を置く不動産開発大手の中国恒大集団(以下は恒大集団)が8月、広東省政府宛に送付した書簡が流出した。これによると、同社の負債は8300億元(約12兆8333億円)以上で、流動性危機による債務不履行(デフォルト)の可能性を示唆した。同社は9月24日、書簡について否定した。
書簡は8月24日に送られた。恒大集団はこの書簡の中で、同社の有利子負債残高は2020年6月30日時点で8355億元(約12兆9183億円)で、銀行系金融機関128社がかかわっており、借入残高は2323億元(約3兆5918億円)とした。同社は2021年1月31日までに、1300億元(約2兆100億円)の元金を(事業提携を前提とする)戦略投資家に償還し、137億元(約2118億円)の配当金を支払う必要がある。この1300億元が負債となれば、資産負債比率は90%以上に急上昇し、恒大集団は深刻な資金難に陥る可能性がある。
書簡は、恒大集団が期限内に「(資産)再編を完了できなければ」、同社は債務返済が難しくなり、関連の金融機関と債券市場などで、クロス・デフォルトが発生し、金融システミック・リスクと社会的リスクも起こり得ると警告した。また、この影響によって、同社の提携先で、2016年から証券取引所での取引が停止となっている深セン経済特区房地産集団(深深房)の中小株主の利益が大きな損失を受け、大規模な集団訴訟に発展しかねない上、雇用と社会の安定に深刻な影響を及ぼす可能性があるという。
深深房は9月20日に発表を行い、「今回の再編は深センの国有企業の改革を伴うもので、取引の構造がより複雑になっており、まだ大きな不確定な要素があるため、今後も取引を停止する 」とした。
恒大集団は書簡の中で、広東省政府に対して同社の重大な資産再編を支持するよう「懇請し」、また、政府が再編に協力するよう求めた。
同社は9月7日、すべての不動産物件を30%値引きして販売するとの方針を示した。
一方、香港市場に上場している恒大集団の株価は9月24日、大幅に下落し、前日比5.6%安で取引を終えた。同社は同日に声明を発表し、書簡について「ねつ造で誹謗である」と否定した。
しかし、中国人ネットユーザーは、国内景気が急速に悪化していることから、書簡は不動産企業の実情を反映したとみて、「恒大が政府の圧力を受けて否定したのでは」との声を上げた。
(翻訳編集・張哲)
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