米中関係が一段と悪化する中、南シナ海をめぐって米中の軍事的緊張も高まっている。中国軍は、7月25日から中国南部の広東省南西部にある雷州半島で実弾演習を実施している。一方、米軍は7月26日に4回も軍機を派遣し、中国の浙江省や福建省などの沿岸部を偵察した。米P-8A哨戒機は一時、中国の領海基線まで41海里(約75.9キロ)のところに迫った。
中国国営中央テレビ(CCTV)は26日、中国軍南部戦区に所属する海軍航空隊が南シナ海で実弾演習を行った映像を公開した。報道は、「演習では、軍機数十機を出動させ、ロケット弾や航空機関砲弾など数千発を発射した」とした。また、CCTVは、7月25日~8月2日まで、中国軍は雷州半島の西部海域で実弾演習を行うと発表した。
一方、南シナ海における中国当局の軍事的脅威に対抗して、米軍は軍艦と軍機を同地域に派遣した。
北京大学海洋研究院の研究調査機関、「南海戦略態勢感知計画(SCS Probing Initiative、SCSPI)」は26日、中国SNSの微博に投稿し、米偵察機などの動きを明らかにした。
投稿は、「26日、米軍の偵察機は東シナ海と南シナ海で飛行した。米軍のEP-3E電子偵察機が、広東省と福建省方面に向けて飛行し、一時台湾海峡の南部空域に入ったという。また、同時に米軍P-8A哨戒機が浙江省、福建省に向け飛行し、福建省の領海基線までわずか41.3海里のところまで接近した。最近の記録では最も近い距離だった」とした。
SCSPIは26日、ツイッターにも書き込みを行った。これによると、対地警戒管制を行う米軍機E-8Cも同日、広東省付近や南シナ海で飛行した。これは7月に入って、南シナ海での5度目の飛行だという。
SCSPIは27日、微博に再び投稿し、米軍が「挑発をさらに加速させた。27日、米空軍RC-135電子偵察機(とみられる軍機)が広東省付近と台湾で偵察を展開した」と示した。同投稿は、米偵察機が「2回も台湾領空に入った」と非難した。
米政府はこのほど、中国当局による南シナ海での軍事拡張に対して強い姿勢で対抗している。ポンペオ米国務長官は13日、中国当局が南シナ海の大半の地域における海洋権益を主張していることについて「完全に違法だ」との認識を示した。
米海軍は、南シナ海付近に原子力空母2隻を派遣し、軍事演習を繰り返している。米海軍は21日、米ロナルド・レーガン(USS Ronald Reagan, CVN-76)空母打撃群が19日、フィリピン海で日本の海上自衛隊、オーストラリア海軍と合同演習を行ったと発表した。また、米ニミッツ (USS Nimitz, CVN-68)空母打撃群は20日、インド洋で、インド海軍と合同演習を行ったという。米軍は同盟国とともに、南シナ海をめぐって中国当局へのけん制を強めている。
一方、SCSPIは、米軍の動向を詳細に報告しているが、中国軍の動きについて触れることは少ない。同公式ウェブサイトで公表されている同機関の研究員の情報によると、一部の研究員は中国海軍の退役将校で、「海軍研究院」などの軍研究機関に所属する人もいる。
(翻訳編集・張哲)
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。