中国がEU主要機関を盗聴、マルタ大使館を拠点に=仏紙

2020/05/19
更新: 2020/05/19

ベルギーの情報機関当局、国家安全保障局(VSSE)は、中国当局が近年、同国首都のブリュッセルに位置するビルを利用して、ビルの近くにある欧州連合EU)の欧州委員会本部などを盗聴していると疑っている。フランス、ベルギーとマルタのメディアが相次いで報道した。

仏紙ル・モンド(Le Monde)5月15日付によると、「ダル・マルタ(Dar Malta)」と呼ばれる「超近代的な9階建ての建物」には、マルタの駐EU大使館と駐ベルギー大使館が入っており、欧州委員会本部の向かい側にある。また、EU理事会の本部もそのすぐ近くにあるという。同紙は、建物内部には盗聴のための様々なハイテク設備が取り付けられていると指摘した。

報道によると、同ビルは、マルタ駐EU大使館として使われる前の2007年に改装工事が行われた。英情報機関は2010年、ベルギー情報機関に対して、中国情報機関当局がこの改装工事に関与したと警鐘を鳴らした。

ベルギー紙ヘット・ラーツテ・ニウス(Het Laatste Nieuws)によれば、マルタが2004年にEUに加盟した後、同ビルを購入し、フルリフォームを行った。工事の費用は中国当局が全額負担した。工事中、ビルの鉄筋コンクリートの骨組みを除き、すべて替えられたという。防弾壁や防弾ガラスなどが使用され、監視カメラやモバイル・センサーも取り付けられた。

マルタメディア「タイムズ・オブ・マルタ(Times of Malta)」は、同ビル内の一部の家具なども中国国内から送られたものだと報道した。

ビル内にマルタの駐ベルギー大使館も入居し、外交特権があるため、現状ではベルギー政府は捜査を行うのが難しい。

情報筋はル・モンド紙に対して、マルタのような小さな国が、大使館を設置するのにブリュッセルでオフィスを賃貸するのではなく、大金を費やしてビルを購入したことに驚いたと話した。同ビルは、不動産価格の高いブリュッセル市中心にある。マルタより経済力のある国は、欧州委員会本部から遠く離れた安い場所で大使館を設置しているという。

EUの外交政策機関である欧州対外行動局(EEAS)は昨年、数百人の中国とロシアの諜報員がブリュッセルで活動していると警告した。外交官や軍関係者に対して、欧州委員会本部近くのカフェやレストランなどを利用しないよう呼びかけている。

(翻訳編集・張哲)