米世論調査大手ピュー・リサーチ・センターは5月12日、台湾で初めて行われた世論調査結果を発表した。それによると、蔡英文政権下の台湾において、米国と中国に対する考えでは、米国を肯定的に捉える動きが高まってる。台湾と米国の経済関係の緊密化については「支持する」が85%と高く、「支持しない」は11%にとどまった。 政治的に緊密な関係を築く上でも、80%が米国との関係強化を支持している。
いっぽう、共産党政権の中国との関係では、36%が緊密化を「支持する」としたが、60%が「支持しない」と答えた。
調査は、2020年2月の総統選挙を控えた2019年10月16日から11月30日にかけて台湾で実施したもので、回答者は成人の1562人。
調査によると、政治的な所属に関わらず、回答者の68%が台米関係の強化を望んでいる。政権与党・民進党の支持者の大多数は、 米国との政治・経済関係の緊密化を支持していた。民進党支持者の中には、中国との関係強化を望む人は非常に少なかった。
いっぽう、親中派である国民党の支持者の多くは、米国および中国の双方との政治・経済関係の接近を支持し、両岸関係を肯定的に見ていた。調査では、台湾人か中国人かをめぐる自認についても質問している。回答者の68%が「台湾人のみ」、28%が「台湾人と中国人の両方」、4%だけが「中国人のみ」と答えた。
台湾人や中国人に関する自認の質問では、民進党支持者および18~29歳の若年層が、「台湾人」と答えた人の割合はそれぞれ92%、83%と非常に高かった。「台湾人」と回答した人のうち、中国本土を好ましいと考える人は23%だった。
この調査は、世界的に前例のない経済および社会的な悪影響をもたらした中共ウイルス(新型コロナウイルス)蔓延前に行われたもので、2020年5月の世論を必ずしも反映していない。
これらの台湾の自認に関する調査は、コロナ危機発生以降に行われた世論調査の結果が、台湾の民間シンクタンク・台湾民意基金会から2月24日に発表されている。
それによると、自分を「台湾人」と答えた人が83%に上り、同基金会の1991年以降の調査で最高となった。同基金会は、ウイルス流行で中国に対する不信感が増し、台湾人意識の上昇を後押ししていると分析した。「中国人」との回答は5%、「台湾人でも中国人でもある」は6%で、いずれも最低だったという。
日本は世界で最も中国を「好ましくない」と考える人が多い国
ピュー・リサーチ・センターは2019年12月、世界34カ国で同年5月から10月にかけて、対中感情調査を行った。中国共産党政権70年に合わせたもので、3万8000人が回答した。中国を最も好ましくないと答える人が世界で最も多いのは、日本(85%)だった。インド太平洋6カ国のなかで、韓国(63%)が次点、台湾(61%)が3番目に高かった。
この6カ国は、おおむね米国に好意的で、フィリピン(80%)が最も親米的、次いで韓国(77%)、3位は台湾と日本(68%)と同点で、インド、オーストラリア、インドネシアが続く。
フィリピン、インドネシア、オーストラリア、韓国では、30%程度の人しか中国を「好ましい」と答えなかった。インドでは更に低く23%で、4分の1以下が中国に対して「好ましくない」と考えている。
(翻訳編集・佐渡道世)
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