中共ウイルス(新型コロナウイルス)の流行が拡大するなか、中国は日本の尖閣諸島、台湾、そして南シナ海での軍事的挑発を活発化させている。中国共産党による香港、台湾に対する政治および経済の抑圧政策は失敗しているため、軍事的挑発は来期にはさらにエスカレートする可能性が高いと専門家は警告している。
2月以降、中国人民解放軍の軍用機や軍艦は、台湾との中間線を越えたり、台湾の防空識別圏に夜間飛行訓練で接近したりするなどしている。また、台湾周辺での演習も頻繁に行い、空母「遼寧」艦隊の軍事演習は宮古海峡を通過し、4月25日まで南シナ海で軍事演習を行った。
日本周辺での軍事的な挑発も増している。防衛省や海上保安庁によると、1~3月の中国公船による尖閣諸島周辺の接続水域内への進入は289隻と、前年同期比で57%増えた。中国機に対する航空自衛隊の戦闘機の緊急発進(スクランブル)回数も、同期間で152回に上る。
河野防衛相は24日の記者会見で、世界各国が協調して新型コロナウイルス肺炎(中共ウイルス)に対応しているなか、「軍事的な拡大を図るのは一層許されない」として中国を厳しく批判した。
台湾国防省の報道官である史俊文少将は24日の記者会見で、台湾周辺の状況は深刻だが、軍部は手を抜いていないと強調した。
史少将は、中国人民解放軍の活動全体を監視するために合同の諜報監視および偵察システムを使用することに加えて、安全保障、監視、および防護任務として機能する8隻の海軍船を派遣したと発表した。
横須賀を拠点とする米海軍第7艦隊は4月23日、フェイスブックに台湾海峡を航行するミサイル駆逐艦「USSべリー」の写真を投稿した。 投稿によると「ベリーは、インド太平洋地域の安全と安定を支援するため、第7艦隊の戦闘地域に配備された」という。
その前日の22日、ポンペオ米国務長官は記者会見で、中国共産党は世界の注目が新型コロナウイルス肺炎(中共ウイルス)に向けられていることを利用して「台湾に軍事的圧力をかけ、南シナ海で近隣諸国を威圧し、ベトナム漁船を沈めるところまで行っている」と非難した。 また「米国は中国のいじめに強く反対している」と述べ、他の国が中国に責任を問うことを期待していると付け加えた。
中国が、危機的な時期に台湾への軍事的圧力を強め続ける理由について、米シンクタンク・プロジェクト2049研究所の研究員イアン・イーストン(Ian Easton)氏は米政府系ボイス・オブ・アメリカ(VOA)の取材で、香港政策、台湾政策が失敗し、中国国内経済は悪化しているため、中国共産党による挑発的な行動はさらに強まると見ている。「新型コロナウイルス(中共ウイルス)によって中国の輸出需要が止まり、誰も中国製の製品を信用しなくなっている」と述べた。
イーストン氏は、「中国共産党は正式な(法的手続きを取った)政治組織ではなく、有権者に選ばれた人々でもなく、社会の支配権を維持するために暴力に頼っているだけの組織だ。このため、党の危機には、同じように軍事力で近隣諸国に八つ当たりする」と分析した。
米セント・トーマス大学国際学部の叶耀元准教授もイーストン氏の分析を支持し、台湾海峡の状況が悪化する可能性が高いとみている。
叶氏によると、中国共産党は「現在すべての非難が中国に集中しており、国内の不満も取り除く方法を見つけなければならない。だから、今は海外に非難の矛先を向けようとしている。 もちろん可笑しな理屈だ。このため、中国は台湾を威圧している。 今後も圧力をかける行動は多くなるだろう。そうなると、米国も、中国の軍事行動に合わせて、即応しなければならなくなる」
『中共攻台大解密』(意訳:中国共産党による台湾攻撃の機密を解く)の著者である作家・易思安氏は、米軍艦が台湾海峡を渡る理由は、「米軍はその存在を主張し、どんな状況でも対応できる、というメッセージを送るためだ」と分析している。
易氏は、米国はこの危険な時期に、地域の平和と安定の維持を目指していると述べた。 「米国防総省が送るシグナルは『決意と強さ』であり、盟友を安心させ、敵を抑止するためだ」
易氏は、新型コロナウイルス肺炎(中共ウイルス)は「世界を震撼させ、不安定さを引き起こす重大な出来事」だが、中国共産党は「極めて野心的で、伝染病を利用している」とした。また、台湾海峡の危機がますます高まるなか、米台の安保・国防関係の改善は極めて重要で、双方の軍事力は最悪の事態に備えなければならないとした。
(翻訳編集・佐渡道世)