<新型肺炎>深圳の7人家族に6人感染 無症状の場合も 水際対策に限界との指摘

2020/01/26
更新: 2020/01/26

香港大学の袁國勇教授(微生物学専門)らが医学雑誌「ランセット(Lancet)」に発表した最新の論文によると、中国深圳市の7人家族のうち、6人が新型コロナウイルスに感染し、同ウイルスによる親族間の感染率は83%だという。

24日に発表された同研究によると、この家族のうち、武漢訪問歴のある5人から新型コロナウイルス(2019-nCoV)に感染し、訪問歴のない1人からも同ウイルスを検出した。

この家族は65歳の女性とその夫(66)、娘夫婦(ともに30代)、孫2人、娘の義母(63)の7人で構成されている。娘の義母を除いた6人が昨年末、武漢を訪れた。孫の1人以外の全員が新型肺炎に感染した。

最初に感染が確認されたのは65歳の女性で、昨年12月29日に武漢で肺炎のため入院した親族を見舞い、その5日後に発症した。2020年1月10日、香港大学深圳病院に入院した。女性の夫も同時に発症し、入院した。

この家族は武漢滞在中、市場に行ったことも動物に接触したこともない。研究者らはこの女性が親族を見舞った際に感染し、その後の旅行期間中(7日間)にほかの4人の家族に感染させ、さらに深圳に戻った後、娘の義母にも感染させた可能性が高いとみている。

また、感染した子どもには、発熱などの症状は見られなかった。このことから、感染者は感染を自覚してない状態で、感染を広めている可能性があると同研究は指摘した。

女性の娘夫婦は1月1~2日の間に相次ぎ発症し、最初の症状は下痢だった。これはSARS感染者の1割にも見られた症状だったという。

娘夫婦の子ども2人に症状は見られなかったが、1人は検査で陽性反応が出た。また、子どもらは武漢滞在中、マスクをつけていた。

娘の義母は武漢旅行に同行していなかったが、ほかの家族が戻ってから、体調不良を訴え、発症した。1月15日に入院した。

同研究は新型コロナウイルスの潜伏期間の症状がSARSに類似していると指摘した。この家族の症例を見ると、今回のウイルスの攻撃率が非常に高いと結論付けた。

袁教授によると、新型コロナウイルスによる親族間の感染率は83%だという。

症状がなくても他者に感染可能

浙江大学第一付属病院感染科の盛吉芳主任は国内メディアの取材で、症状のない感染者との接触で発症する症例を紹介した。同主任によると、会議のため、浙江省杭州市を訪れた武漢の住民は症状がないにも関わらず、彼と接触した複数の杭州の同僚が感染した。本人も武漢に戻って2日後に発症した。

フランスで24日に確認された3人の感染者のうち、2人は入国当初、症状はなかったという。もう1人は武漢からオランダ経由でフランスに入った。ロイターの報道は「水際防疫に限界がある」と指摘した。

世界保健機関(WHO)は北京時間24日早朝に発表した声明で、中国から「武漢の4次感染と武漢以外の地区の2次感染の症例」が報告されたという。

(翻訳編集・李沐恩)