中国湖北省武漢市政府が23日早朝に開催した新型肺炎の対策会議で、「全面的に戦時状態に入った」と宣言した。当局は同日未明、23日午前10時から武漢市から出発する高速鉄道、航空便、長距離バスなどの運行を停止すると発表した。多くの市民が脱出を試みた。
中国メディアによると、武漢市党委員会書記で感染防止指揮部のトップである馬国強氏が早朝、会議を召集した。会議は、今後の感染拡大防止について「全面的に戦時状態に入った」とし、「戦時状態の措置を実施し、感染のまん延を断固として阻止する」との方針を固めた。
武漢市は23日午前2時、交通機関を閉鎖すると公表した。通達は「2020年1月23日午前10時以降、市内のバス、地下鉄、フェリー、長距離バスなどの運行を一時停止する。特別な事情がない限り武漢を離れてはいけない。空港、鉄道駅を一時閉鎖する。再開について、別途に通知する」とした。
ネット上では、中国軍、共産党中央軍事委員会は、社会不安の広がりを防ぐために、中部戦区の一部の兵士を武漢市に派遣し、空港などの閉鎖に当たらせたとの情報が出た。しかし、中国当局からの発表はない。
市の発表を受けて、市民の間ではさらに不安が広まった。多くの市民が閉鎖時間の10時までに市からの脱出を図り、高速鉄道の駅、鉄道駅、空港などに殺到した模様。
中国メディア・財新網23日付によると、鉄道駅のチケット売り場で列に並んだ市民は「どこへ行ってもよい、武漢を出られるならどこでもいい」と話した。
観光で武漢を訪れていた北京市民は「武漢市政府が空港などを封鎖すると知って、すぐ荷物をまとめた。でなければ、ここに足止めされてしまうから」とした。
香港紙・蘋果日報23日付によれば、武漢市の高速鉄道駅では、市からを脱出しようとする市民らが大きな荷物を持っていて、「皆が慌てている様子だった」。高速鉄道の券売機に全部「故障中」との張り紙が貼られていたため、市民らは窓口に集中した。現場は混乱していた。
また同紙は、同日午前10時、市は高速鉄道駅を閉鎖したと伝えた。駅の周りにバリケードが設置され、武装警察が現場に投入された。武装した警官は、駅に入ろうとする市民を追い散らしていたという。
中国紙・新京報も、早朝4時から武漢市の天河国際空港で、武漢から離れようとする乗客が長蛇の列をつくり、空港内がごった返していたと報じた。
ネットユーザーはSNS上に、高速道路で武漢を離れようとする車の列が渋滞を起こした様子を撮影した写真を投稿した。
中国メディア・財新網は武漢市内の重点病院に勤務する複数の医師の話として、新型肺炎の感染者は6000人を超えていると伝えた。
(翻訳編集・張哲)
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