ドイツ検察、元EU大使ら3人をスパイ容疑で調査 中国に情報提供か

2020/01/20
更新: 2020/01/20

ドイツ検察局は1月15日、中国当局のスパイの疑いで、元EU大使ら3人を調査している。そのうちの2人は、中国国家安全情報局に情報を提供した疑惑がある。関係筋の話を、独紙が伝えた。

独紙ビルド(Bild)17日の報道によると、3人は容疑を否認しており、検察は逮捕状を取り下げたという。担当弁護士がメディアの取材に回答した。

独週刊誌シュピーゲル(Spiegel)15日付によれば、調査を受けた3人のうち、1人がドイツ選出の元欧州委員会にも務めた外交官で、2人はドイツのコンサル会社従業員。この2人は、中国国家安全情報局にスパイ対象者の個人情報を渡しているとの疑いがあるという。

これまで検察局はベルリン、ブリュッセル、バイエルンなど9カ所で、事務所や家宅捜査を行った。

シュピーゲルによると、この元外交官は、欧州委員会の要職を歴任し、複数の国でEU大使を務めた。2017年にEUを退任後、PRコンサルタント業のゲルハルドS(Gerhard.S)社に務めた。ドイツ検察によると、同年から中国へ情報提供を始めたという。彼はまた、同社従業員2人に協力を求めた。うち1人は、中国の情報当局者に会うために、中国を訪問している。

著名な外交官が務めるこのコンサル企業は、ドイツの大手企業に対中ビジネスのアドバイスも行っている。

外国へのスパイについて、ドイツ刑法第99条によると、証拠が決定的なものである場合、最高10年の懲役が科される。

18日、この事案の担当弁護士であり、ドイツ社会主義協会ドイツ財団職員のピーター・ゴーウィラー(Peter Gauweiler)氏は、同紙ビルドの取材で、検察はすでに、司法裁判所へ提出した逮捕令状の申請を取り下げたと述べた。これについて、検察はメディアの取材に回答していない。

(翻訳編集・佐渡道世)