中国当局がすでに一部のドイツ企業を、今年導入予定の企業版社会信用システムの「ブラックリスト」に入れたことがわかった。独メディア・ドイチェベレ中国語電子版は1月16日、ドイツ公共放送連盟(ARD)の経済番組「Plusminus(プラスマイナス)」の報道を引用して報じた。
これによると、中国当局は、期限までに企業年度報告の提出をしなかったとして、天津大衆汽車金融公司(Volkswagen Financial Leasing)、独大手建設会社ツプリン社(Ed. Züblin AG)の中国子会社などを当局のブラックリストに追加した。「信用度が低い」と評価されたこれらの企業は、当局からより厳しい審査を受けるため、公開入札に参加できず、税金優遇措置も受けられなくなる。経営者も、飛行機のチケットを購入できず、高額な個人の保険に加入できない可能性がある。
中国当局は2014年から、国内外の企業の情報やデータを収集している。これらのデータは現在、中国IT大手企業が提供したデータ庫に保存されているという。中国当局は、「社会信用システム」を通して、企業情報データを基に、企業の「信用度」をスコアリングし格付けする。
中国問題専門家で独トリーア大学のセバスティアン・ハイルマン(Sebastian Heilmann)教授は、企業版「社会信用システム」について、中国当局にとって外資系企業を支配するための「完璧な道具」だと批判した。「企業情報を収集しながら、企業活動を監視して直ちに制裁を加えるという全く新しい、これまでなかった監視システムだ」
番組「Plusminus」の調査では、中国当局のデータ庫にドイツ系企業の「違反行為」が多数記録されている。中国済南市にあるボッシュ(Bosch)の環境汚染、宝馬(BMW)の「広告法違反」、ZFフリードリヒスハーフェンの上海子会社の「労働時間法違反」などが挙げられた。これらの企業は「Plusminus」の取材に対して、中国の法律法定を順守していると強調した。ツプリン社は、当局に指摘された年度報告の未提出について、「1999~2004年までのことだった。今まで影響はなかった」とした。
在中ドイツ商会は企業版「社会信用システム」に強い懸念を示した。「経営者の『違反行為』によって企業の信用スコアが低下するだけでなく、業務提携先の企業の信用スコアが低ければ、こちらの企業のスコアも低くされる。これによって、企業が互いに監視せざるをえなくなる」
(翻訳編集・張哲)
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