台湾、中国の諜報幹部を拘束 元中共スパイの暴露を受けて

2019/11/26
更新: 2019/11/26

台湾政府は11月25日、桃園空港で香港の上場企業である中国創新投資(China Innovation Investment Limited)の向心・最高経営責任者(CEO)夫婦の身柄を拘束した。オーストラリアに亡命した元中国のスパイ・王立強氏は23日、豪メディアに対して、同社が中国軍総参謀部の管理下にあり、向氏夫婦は中国軍の上級スパイだと暴露した。

中国創新投資の25日の声明によると、向心CEO(56)と妻で同社の補欠取締役の龔青氏(50)は台北市の桃園国際空港で出国手続中、台湾の法務省調査局に、スパイ活動の関連捜査に協力するよう求められた。夫婦が台湾を訪ねた理由は不明だ。

台湾メディア「中央社」25日付は、向、龔の両氏は同日夜、台北地方検察署(地検)に移送されたと報じた。地検は26日未明、両氏に対して台湾からの出国を禁止すると発表した。

王立強氏の情報によると、中国当局の指令を受けた向氏は、香港と台湾でメディアの買収や設立を計画し、情報収集と世論操作、また来年の台湾総統選挙への介入を企てているという。

台湾の経済省投資審査委員会は、向氏らが台湾で不動産販売会社を設立しようと、2016年12月30日付で経済省に申請書類を提出していたことを明かした。投資審査委員会は国家安全上の理由で、2017年4月20日に同申請を却下した。

国立台湾大学の高成炎教授も台湾メディアに対して、自身の経営する地熱発電事業会社が2年前、向氏側から投資の意向があると打診を受けたと話した。

王立強氏に関する報道を受けて、台湾の著名時事評論家・汪浩氏は23日、「中国創新投資の会社紹介では、同社は軍事と民間企業の合併に関わる投資に従事している。同社の補欠取締役の龔青氏は以前、二つの政府機関で勤務したことがある。そのうちの一つは、中国軍の情報機関『中国国防科技情報センター』だった」とフェイスブックに投稿した。

汪氏は、同社の年度決算報告や株価を分析し、「過去2年間に10億香港ドルの収益を得たにもかかわらず、株価が1株=0.016香港ドルという水準を維持している。会社はこんなに儲かっているのに、なぜ株価相場がこれほど低いのか?本当におかしい」と指摘した。

いっぽう、蔡英文総統は23日、中国当局による台湾総統選挙への介入の意図が「はっきりしている」と述べた。総統は、すでに政府職員をオーストラリアに派遣し、王立強氏が暴露した情報を調査すると述べた。

(翻訳編集・張哲)