台湾立法機関は中国共産党政権による台湾への影響力拡大を阻止するため、法改正を加速している。立法院(国会)の第三読会(三読)は7月3日、台湾と中国本土の民間交流に関する「両岸人民関係条例」の改正案を可決した。
改正案は、国防省、外務省、中国本土政策を管轄する政府機関、国家安全・情報機関の政務副長官レベル以上を務めた元高官、軍で少将以上の階級だった元軍人に対して、中国共産党および中国軍などの政治機関が主催する式典や活動への参加を禁じ、「国家の尊厳を損う行為」があったと認められた重大違反者に対して、退職金の受給資格をはく奪すると明確に定めた。
2016年11月、台湾陸軍元中将の呉斯懐氏を含む元軍幹部32人が中国本土で開催された孫文の生誕150周年記念イベントに参加した。その際、呉氏らは中国の「国歌」を斉唱し敬礼した。台湾国内で波紋が広がった。
今回の改正案は、中国共産党政権の旗、徽(マーク)への敬礼や国歌斉唱などの行為を「国家の尊厳を損う行為」と定義した。
違反者に対して、元所属先はその違反状況によって、軽い者の場合、今後5年間の給与を半分減額し、重い者には退職金受給資格を取り消すうえ、すでに給付された退職金を返還させ、一回で退職金全額を受け取った者には、200万台湾ドル(約694万円)~1000万台湾ドル(約3470万円)の罰金に処する。
また、改正案は公職員が退職後、中国本土への出国に関する規制期間は3年間と明記。退職後3年以内に中国本土へ渡ることを認めないとした。
5月以降台湾の立法院は、中国のためにスパイ行為を働く元軍人や元高官を厳罰するよう、「刑法」の外患罪、「国家機密保護法」「国家安全法」などの改正案を次々と可決した。
台湾政府は、「台湾統一」を狙う中国当局の浸透工作を強く警戒している。
(翻訳編集・張哲)