G20 日米首脳会談、技術防護システム強化へ ハイテク冷戦念頭に

2019/06/28
更新: 2019/06/28

安倍首相は28日午前8時半、貿易と地域の安全保障を議論するため、米ドナルド・トランプ大統領とG20サミット開催前の二国間会議を行った。

会議開始前の挨拶で、安倍首相はトランプ大統領に対して、5月の改元後初の国賓としての来訪に謝意を述べた。首相は、この3カ月間で日本企業が16件の対米投資を決めたと説明。日本企業は米国内で244億ドルを投資し、4万7000人の雇用創出に貢献したと説明した。

トランプ大統領は「私たちはつい日本を離れたばかりだったが、もう帰ってきたよ」と冗談を述べた。東京での相撲観戦などを引き合いに出して、世界中で相撲が話題になったと挨拶した。

安倍首相は、異例の3カ月連続となった日米首脳会談の実現を「強固な日米同盟の証し」と強調した。首相とトランプ氏の会談は12回目となる。

トランプ氏は、米国への日本の投資に対して安倍首相に感謝を述べた。「多くの自動車企業がミシガン州、オハイオ州、ペンシルベニア州、ノースカロライナ州など、多州に関わる事実に感謝する」

会議の後、ホワイトハウスは、両首脳が日米間で進行中の二国間貿易交渉について議論したと声明を発表した。それによると、「両国は、北朝鮮とイランを含む、共有されている安全保障上の課題に関する日米間の協力を再確認した」とした。

安倍首相とトランプ大統領はまた、中国による先端技術窃盗や、次世代通信規格5Gをめぐる「ハイテク冷戦」などを念頭に、「日米の技術的優位の維持や、日米間の重要情報、技術の共有に関する情報防護システムの強化」について会議した。

世界最大の経済大国の首脳たちは、6月28、29日に開催される第14回G20サミットのために大阪に集まった。

トランプ大統領にとって日本への公式訪問は3回目となる。専門家によると、安倍首相はトランプ大統領と「特別な関係を戦略的に構築」し、日本と米国の重要な同盟国としての関係を築いている。

「安倍首相は、大統領との関係をどのように管理するかの基準を定めているだろう」と、アジア国際戦略上級副理事長兼日本国際戦略研究センター長のマイケル・グリーン氏は述べた。「安倍首相はトランプ大統領と、他のどの国のリーダーよりもはるかに長い時間をかけて、電話会談し、そしてゴルフを通じて個人的な関係を結んだ」と同氏は記者団に語った。

グリーン氏はまた、日本側はトランプ政権の厳しい対中貿易姿勢にかなり満足していると分析する。いっぽう、日本は、トランプ大統領が日本の輸入自動車に対して追加関税を掛けるかどうか、懸念している。自動車は日本の製造業にとって、主要な経済指数を図る目安となる。米国への自動車輸出は日本の貿易収益の主力であり、国内総生産の1%近くを占める。

日米首脳会談後、同席した西村官房副長官は、トランプ大統領から日米間の貿易収支について言及があったと話した。ロイター通信によると、トランプ大統領は対日貿易の赤字を重く見て、米国産野菜の輸入拡大を求めたと見られる。日本は世界第4位の農産物輸入国。

また、西村副長官によると、トランプ氏が苦言を呈していた安保体制での米側の負担問題や、日本の防衛装備品購入に関する話題はなかった。

会談後、両首脳はインドのナレンドラ・モディ首相と、第2回日米印首脳会談を行った。首脳らは、三国間の連携を強化し、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けての取り組みについて議論した。

三国間首脳会談の後、米政府高官は記者団に対し、計画的な討論トピックには、「南シナ海での最近の合同演習」に続く「強力な海軍協力」が含まれていると述べた。

(編集・佐渡道世)