天安門事件30周年、海外で広がる「忘れない」

2019/06/04
更新: 2019/06/04

6月4日、中国当局が民主化を求める学生らを武力鎮圧した1989年の天安門事件から30年を迎える。丸腰の学生や市民に銃口を向けたことを正当化する中国当局に対して、近年、国内外で批判の声が高まり、海外では事件を忘れないよう各地で集会が開催された。

1989年6月3日深夜から4日早朝にかけて、中国軍は戦車や装甲車を投入し、北京市の天安門広場で民主化と反腐敗を求めて集会する学生や市民に向けて発砲した。中国当局は後日、死亡者はゼロだと発表した。英国政府が2017年12月、当時の中国上層部の信頼できる情報源から入手した機密文書を公開した。それによると、天安門事件の死者は数千人から1万人にのぼる。

中国当局は過去30年間、死者はいないと一貫して主張し、武力鎮圧は政治的に正しい判断だったと主張してきた。

6月2日、中国の魏鳳和・国防相は訪問先のシンガポールで、天安門事件について「政治的な動乱である」、武力鎮圧は「正しい方針」だったと中国当局の一貫した主張を述べた。また、魏氏は武力鎮圧がなければ、「中国は安定と発展を享受することができなかった」と発言した。

米国務省のオルタガス報道官は5月30日の記者会見で、天安門事件について、「平和に抗議活動を行っている人に対する徹底的な虐殺行為だ」と強く批判した。

ポンペオ米国務長官は3日の声明で、中国政府は弾圧による死者や行方不明者について公に説明すべきだとした上で、「そうすることで中国共産党は人権や基本的自由の尊重に向けて一歩を踏み出すことができる」と述べた。

さらに、「人権や基本的自由を追求したために拘束されたすべての人々の解放、恣意的な拘束の停止、宗教・政治信条をテロと結びつける非生産的な政策の撤回を中国政府に要求する」とした。

台湾の蔡英文総統は4日、30年前の天安門事件を巡って、中国は民主活動家への弾圧について真実を隠蔽し続けていると述べた。

海外メディアはこのほど、天安門事件30周年を記念し、若い世代が事件を忘れないように大々的に報道している。米ボイス・オブ・アメリカ(VOA)、ニューヨーク・タイムズ、ラジオ・フリー・アジア(RFA)、ドイチェベレなど各国主要メディアは、天安門事件の長編特集を組んでいる。近年では異例だ。

台湾や香港では4日夜、例年と同じ記念集会を行う予定。香港での集会は今年30回を数える。

中国の若者の考え

中国当局はこれまでと同様に、国内で情報規制ネット検閲を通して、すべての中国人に対して、タブーである天安門事件を忘れさせようとしている。

今の若者は、ネット規制を回避できる「VPN(仮想私設網)」で海外のウェブサイトにアクセスし、天安門事件の情報を得ている。

米VOAは6月2日、事件後に生まれた中国人の若者3人を取材し、天安門事件についての感想を聞いた。

現在、台湾に留学し、中国当局の憲法修正に反対する動画を公開した李家宝さんは、10代の頃、海外のウェブサイトから天安門事件を知った。李さんはVOAに対して、「戦車に立ち向かうタンクマンの姿に震撼させられた」「中国の教科書には天安門事件についての内容が全くない」と述べた。

台湾政府に亡命申請を提出した李さんは、「今の中国は、辛亥革命(1911年発生)前の中国と比べて、より暗黒だ」とした。

1990年に生まれた曲亦歌さんは、2005年に初めて両親から天安門事件を聞かされた。李さんと同様に、VPNを使って海外のサイトにアクセスした。その後、台湾を訪れた際、天安門事件当時の学生リーダー、王丹氏が執筆した著書をひそかに持ち帰った。曲さんは、中国の20代の若者の多くは「善良で正しい道徳観を持っている。天安門事件に関して事実を少しでも知れば、中国共産党政権にすぐに反感を抱くだろう」と話した。

郭小華さん(仮名)は中学生の時、家族の集まりで天安門事件を初めて耳にしたという。高校生の時、ある30代の教師から影響を受けた。「先生は天安門事件に強い関心を持ち、中国の民主化を望んでいた。周りの話によると、先生はいつも警察当局に監視されていた」。現在、米国に留学している郭さんは、「天安門事件について、真実が明かされる日が絶対に来る」とした。

3人は、国内で友人と天安門事件や民主化運動について話すことはできないと述べた。「政治問題についてはみんな慎重で、避けている」

時事評論家の藍述氏は大紀元に対して、中国当局が情報規制を行っても、若者の天安門事件を知ろうとする気持ちは抑制できないと指摘した。「事件を知れば、中国の若者は共産党の本質を見抜くに違いない」

(翻訳編集・張哲)

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