中国の対ベネズエラ融資、「全額回収できない可能性」=米誌

2019/02/13
更新: 2019/02/13

中国当局はベネズエラの政治情勢に強い関心を寄せている。中国国民の間では、中国当局がベネズエラ政府に提供した500億ドル(約5兆5334億円)に上る融資が、マドゥロ現政権の崩壊に伴い、回収できないとの見方が広がっている。

米誌「ナショナル・インタレスト」は10日に発表した記事で、中国当局がベネズエラに対して提供した石油担保融資(oil-backed loans)は、ベネズエラ政局の変化によって、「ヘアカット(債務元本の一部を削減すること)」され、中国当局が大きな損失を被るとの見方を示した。

同記事によると、中国当局はベネズエラの豊富な石油資源を狙い、2007年以降同国に少なくとも500億ドルの貸し出しを供与した。しかし、ベネズエラの石油資源は実際の「担保」ではなく、債務返済の現金を生み出すための手段である。「ベネズエラ情勢不安により、資金を貸した中国当局にとって、石油は幻の担保となった」

記事は、この状況について「間違えた地政経済学の典型的な例」と喩えた。「混乱が生じているところに、ばら撒き政策を行っても、持続する戦略的影響力は買えないという事実が証明された」ベネズエラの現状は、巨大経済圏構想「一帯一路」沿線諸国に経済支援や融資などを行う中国当局にとって大きな教訓となった、と記事は指摘した。

ベネズエラは融資返済に、中国に対して固定価格で石油を提供してきた。しかし、ベネズエラの産油量の減少と世界原油価格の下落で、融資返済のために、ベネズエラは中国当局と契約した当初と比べ、より多くの石油を生産しなければならないことになった。貸し手である中国当局は、借り手であるベネズエラとの間で、返済の猶予を与える、あるいはより少ない見返りでの返済について交渉を行う可能性が高いという。

「ナショナル・インタレスト」によると、ベネズエラ側の中国に対する未返済債務が、現在200億ドル(約2兆2137億円)残っている。マドゥロ現政権が崩壊した後、新政権がこれらの債務を整理するとみられる。

ブルームバーグによると、フアン・グアイド暫定大統領が指名した「駐米大使」、カルロス・ベッキオ氏は4日、新政権は「合法」の債務を履行していくとしながら、「石油担保融資」の履行について、「まだわからない」と述べた。

米投資銀行、トリノキャピタル(Torino Capital)の統計によれば、2018年まででベネズエラの対外債務規模は1570億ドル(約17兆3779億円)で、国内総生産(GDP)の150%を占める。

一部の専門家は「ナショナル・インタレスト」に対して、資金回収を確保するため、中国当局は現在も依然としてマドゥロ政権を支持しているとの見解を示した。

いっぽう、米紙ウォール・ストリート・ジャーナル13日付は、中国当局は債務返済の履行について、この数週間米国でグアイド暫定大統領側と協議を行っていると報道した。

(翻訳編集・張哲)

関連特集: 一帯一路