米国の人気SNSレディット(Reddit、サンフランシスコ拠点)は、中国大手SNS微信(WeChat)を運営するIT企業の騰訊(Tencent、テンセント)から、1.5億ドルの投資を受ける。レディットのスティーブ・ハフマン最高経営責任者(CEO)が11日、米テレビCNBCの取材のなかで明らかにした。
米国内サイトで5番目のアクセス量を数えるレディットの企業価値は30億米ドル。現在シリーズD投資ラウンドの段階で、総計3億米ドルに上る多方面からの投資を呼びこんでいる。レディットは騰訊のほかにもSequoia、Fidelity、Andreessen Horowitz、Quiet Capital、VY、Snoop Doggなどから資本を受け付けるが、騰訊の投資額は1.5億米ドルで全体の半分を占める。
共産党政権下の中国では、国営や民間に関わらず、企業は当局の情報統制や収集に協力する義務がある。中国資本が世界的に広がる中、騰訊からの融資を受けたレディットにも、中国当局による情報規制が行われるのではないかと、ユーザーたちは批判的に見ている。
レディット自体は、グーグルやフェイスブックと同様に、中国国内では情報統制により使用できない。
レディットの公式発表によると、SNSのライバル社に対抗してネット広告拡大の必要性から投資を呼び掛けている。ハフマンCEOはCNBCに対して、騰訊が人気ビデオゲームなどを運営しており、協力関係を築けると述べた。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは、騰訊のような中国IT大手による米国ベンチャー企業への投資拡大について懸念を指摘する。 米トランプ大統領は2月、中国企業が米技術系企業に投資することについて制限を設けることを示唆している。
レディットの利用者はニュースを受けて、相次いで中国共産党が情報統制を敷く画像や動画、文字を掲載した。例えば1989年6月4日、丸腰の学生らによる民主運動が中国軍により武力鎮圧される「六四天安門事件」の場面や、チベット族やウイグル族に対する武装警察による残忍な弾圧場面など。
騰訊は、中国共産党政権による情報検閲・統制を行うシステム「防火長城」に関わる主要な企業。レディットがこの度、騰訊から投資を受けることに、ユーザーは不信感を抱いている。あるユーザーは、レディットの利用者層は若年男性が中心で、中国事情に詳しくない。2020年米大統領選挙に向けた中国共産党政権の情報規制と思想宣伝の準備ではないかと勘ぐっている。
レディットは、グーグル(Google)、ユーチューブ(YouTube)、フェイスブック(Facebook)、アマゾン(Amazon)に次ぐ米国内5番手のアクセス量を数える情報交流サイト。月間アクティブ・ユーザー数は3.3億。
しかし、レディットはユーザー1人当たりに関連する収入(ARPU)はフェイスブックやツイッター(Twitter)と比較するとかなり低いとされ、広告戦略に苦戦している。米IT系情報メディア、テック・チャーチによると、レディットのARPUは0.3米ドルで、2018年の総収入は8500万米ドル程度と試算されている。
(翻訳編集・佐渡道世)