英国のシンクタンク・英国王立防衛安全保障研究所(RUSI)が12月17日に発表した報告によると、中国の軍用ドローンが近年、中東における紛争や政治的衝突地域で使用されている。
RUSIは「中東における武装勢力の拡散と規範」と題した報告のなかで、米国が中東紛争地域へ軍用ドローン販売を禁止するなか、中国からの輸入が増加した。
報告によると、ヨルダン、イラク、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、イスラエル、イラン、トルコなどで軍用ドローンが使用されている。「中国はこうした軍用ドローンの需要がある国に、米国の承認もなく低価格で販売している」と述べた。
さらに「無審査の軍用ドローンの供給を続ける中国は、中東にとって重要なサプライヤーになっている」という。頻発する中東の武装衝突で、地域住民が戦火に巻き込まれ死亡するとのニュースは国際社会で常に関心が寄せられている。
報告は、各紛争地域がどのように軍用ドローンを使用しているのか、空の軍事行動にどのような変化にもたらしたかを分析した。その結果、トルコやアラブ首長国連邦は、有人飛行機では危険な地域に軍用ドローンによる攻撃が増えたという。制裁により航空機などの軍事開発が遅れるイランでは、早い段階に軍用ドローンを購入した。イランはイスラエルの空域に侵入するために、シリアの拠点からドローンを使用しており、イスラエルによる武装対立を引き起こした。
中国官製メディア新華社通信は2017年2月28日、中国開発の軍用ドローン・翼竜2は海外から最大規模の受注があったと、研究開発者の話として報じた。国名や受注規模は明かされていない。翼竜2は翼幅20メートル余りで、中高度の飛行を長時間続ける事ができ偵察や攻撃能力を備える。
報告書の執筆者の一人Aniseh Bassiri Tabrizi氏は、中東における軍用ドローンの運用は今後、加速する可能性があると分析する。
2017年7月、中国指導部は次世代のAI開発計画を発表し、2030年までにAI技術の世界一を目標に掲げた。さらに、AIによる自律型殺人兵器の研究開発に力を入れている。香港英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストは12月7日、北京理工大学(BIT)は選抜した高校生31人を、向こう4年間でAI兵器科学者に育てる。
人間が全く介入せず強力な殺傷能力を持つAI兵器は、キラーロボット(殺人ロボット)とも呼ばれる。この開発に関して、倫理的観点や人道上の問題から、そのリスクを懸念する声が少なくない。
米マサチューセッツ工科大学(MIT)のマックス・テグマーク(Max Tegmark)教授が運営する非営利団体は7月、「AIによる自律的殺人兵器を開発しない」誓約書を発表した。米実業家のイーロン・マスク氏、Google傘下のAI研究開発企業「ディープマインド」創業者のデミス・ハサビス氏やシェーン・レッグ氏など、世界AI関連企業160社の関係者やAI研究者2400人以上が、同誓約書に署名した。
(編集・佐渡道世)
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