台湾映画祭で「独立」を巡って波紋 両岸関係者つばぜり合い

2018/11/21
更新: 2018/11/21

17日に行われた台湾の映画祭、「第55回金馬奨」の授賞式で「一つの中国」をめぐって台湾と中国本土の映画界関係者が火花を散らした。台湾人監督の「台湾独立」を願う発言に反発し、大陸の関係者が相次ぎ関連イベントを欠席した。台湾や香港など複数のメディアが報じた。

授賞式には地元台湾や中国本土、香港など中華圏の有名な俳優や映画界関係者が出席した。受賞した台湾の女性映画監督の傅楡(36)さんは、「台湾は独立した国家と見なされることを望む」と述べた。傅さんは、2014年3月に起きた「ひまわり学生運動」を描写したドキュメンタリー映画の監督を務めた。今回の映画祭で、同映画は最優秀ドキュメンタリー作品賞を受賞した。

この発言に反発し、中国大陸出身の俳優・涂們さんは「プレゼンターとして中国台湾に再び訪れることができたことをうれしく思う」と切り返した。

また、今回映画祭の審査委員長を務めた中国出身の女優、鞏俐(コン・リー)さんは、授与プレゼンターとしてステージに上がることを見送った。授賞式後の夕食会には中国からの監督、俳優らはほとんど欠席し、急きょ帰国した。

中国大陸の一部の芸能人は、ソーシャルメディア「微博」で、相次いで「一つの中国」を支持する主張を投稿した。

香港紙・蘋果日報の報道によると、中国の映画、ドラマを管轄する検閲当局「国家新聞出版広電総局」は、傅楡さんの発言があった際、国内のテレビ局に授賞式の生放送を直ちに中止するよう指示した。また大陸の出席者に対して関連イベントに参加しない、メディアの取材を受けないよう命じた。

中国共産党機関紙・人民日報傘下の「環球時報」は18日の社説で傅楡さんの発言を批判した。また今月24日に台湾で行われる統一地方選挙(九合一選挙、9種類の地方公職人員選挙)についても言及し、「政府関係者から国民まで」大陸人が台湾政界と距離を置き、政治利用されないようにすべきだと主張した。

香港メディア「明報」は18日、中国当局はこの出来事が、選挙で蔡英文総統が党首を務める民進党にとってプラス材料にならないよう神経を尖(とが)らせているとの見方を示した。

蔡英文総統はフェイスブックで、涂們さんの発言について「われわれはこれまで『中国台湾』という呼び方を受け入れたことはないし、受け入れるはずがない。台湾は台湾だ」と書き込んだ。

また、台湾駐ドイツ経済文化代表処(大使館に相当)の謝志偉代表は同様にフェイスブックに投稿し、台湾のネットユーザーに向けて俳優の涂さんを非難しないよう呼び掛けた。「彼は演技をしているかもしれない。あるいは、彼は演技をしなければならなかったかもしれない」「中国共産党の圧政の下で、国民は党の論調と一致を保たなければならない。でなければ、彼たちは突然失踪してしまうからだ」

謝氏は、中国当局にとって足りていないものは「領土ではなく、言論の自由だ」と批判した。

九合一選挙に合わせて台湾では24日、「台湾」名義での東京五輪出場に向けた国民投票が行われる予定。

(翻訳編集・張哲)
 

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