米海軍の調査船が高雄に寄港 今年で4度目

2018/10/19
更新: 2018/10/19

アメリカ海軍研究局(ONR)所有の海洋調査船「トンプソン(T-AGOR-23)」が15日から18日にかけて、台湾・高雄港に寄港した。それに対し、台湾当局は「科学研究が目的だ」と明言したものの、政治的な意味合いがあるとの解釈や憶測が広がっている。

米大学から使用権を譲渡された同船は遠隔操作型の無人潜水機(ROV)と自律型無人潜水機(AUV)を搭載しており、台湾周辺海域の地形データを的確に収集することができる。台湾海軍「新江艦」の艦長だった呂礼詩氏は17日、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)の取材に、正確な地形データは「米軍の対潜能力の増強には極めて重要な役割を担っている」との見方を示した。

アメリカと中国は貿易摩擦のみならず、軍事面でも対立を深めている。米軍は11月の数日間台湾海峡や南シナ海で、大規模な軍事演習を計画していると米CNNテレビが3日報じた。それに対し、呂氏は米海軍がこの調査船を通じて中国の反応を試していると述べた。「演習の規模や手法を決めるための『準備作業』と見ていいだろう」

呂氏によると、南シナ海の地形は複雑である。最深部は約5600メートルに及ぶ海盆によって、水深変化が激しい区域もあるため、航行中の潜水艦は危険に晒されているという。台湾海峡から南シナ海の南部までは周辺各国が領有権を主張する係争地域のため、同海域の探査データは最も少なく不完全なものとなる。そのため、近年は多くの探査船が同海域に頻繁に出没しているという。

同船の高雄への寄港は今年で4回目となる。

中国共産党政権の覇権を阻む政策の一環として、米上下両院は今年8月、相次いで年次国防権限法(NDAA)を可決した。同法案には、台湾に関しての防衛力強化や米台による実戦軍事演習の推進など、台湾問題で厳しい対中姿勢を反映する条項が盛り込まれている。

米調査船による高雄への寄港について、台湾国防当局は16日、「国防権限法」に関係なく、軍部にもまったく関係はなく、「単なる学術研究のためだ」と強調した。

台湾紙の自由時報(Liberty Times)は16日、調査船のエリック・ハロルドソン船長の話として、21人の乗組員と39人の科学者を乗せた同船は、ワシントン大学の研究プロジェクトを推進しており、高雄港への寄港は台風避泊や燃料補給のためで、軍とは関係ないと報じた。

(翻訳編集・王君宜)