中国は、招待されていない米軍主導の環太平洋合同演習(RIMPAC、リムパック)に情報収集艦を送り、スパイ活動を行っているという。海軍関係者が明らかにした。
米太平洋軍報道官チャーリー・ブラウン大佐は13日の記者会見で、11日から、ハワイ周辺の米排他的経済水域(EEZ)周辺の公海で、中国の情報収集艦が活動していると述べた。
ブラウン大佐によると、米海軍はこの中国のスパイ艦を監視しているという。
「この(中国の)船は米国領海の外にいる」「重要な情報を保護するために必要なすべての予防措置はとっている。船は合同演習実施に影響を与えていない」と大佐は述べた。
チリ海軍パブロ・ニーマン士官は「参加するはずのない船の存在が、演習を混乱させる要因になった。とても失望している」「協調の精神に基づく合同演習のなかで、全員が集中して行動することを期待している」と12日、ハワイ紙スター・アドバイザーに語った。
オーストラリアのメディアは、中国の情報収集艦が、リムパックに向かうオーストラリア海軍艦艇を追跡していたと報じた。
海洋安全保障情報・米海軍研究所(USNI)ニュースによると、このたび確認された中国スパイ艦は、過去2回の演習でも姿を見せた東調級情報収集艦(電子偵察船)と推測している。
中国人民解放軍は、2年に1度の大規模な多国籍の海洋合同演習に、2012年(オブザーバー参加)、2014年と2016年参加している。対中強硬派を揃えるトランプ政権後の2018年リムパックには、5月に招待を取り消された。
軍事評論家・北村淳氏はJBPRESSで2017年に発表した文章で、中国軍のふるまいは「海軍間の慣行儀礼に著しく背く非礼」だったと指摘している。
中国軍は、参加申請のない監視船を、20カ国以上の海軍や海兵隊が演習する公海地域に出動させ、スパイ艦で情報収集していたとして、他国のひんしゅくを買った。北村氏は「参加国に対する背信行為以外の何物でもない」と糾弾した。
2012年から中国を招待したのは、対中融和政策をとるオバマ政権だった。北村氏によると、米国の仮想敵国である中国のリムパック参加には、米海軍上層部、国防省、米議会とホワイトハウス、シンクタンクにいたるまで、激しい議論が巻き起こったという。しかし、オバマ政権時代は、対中融和派の勢力のほうが大きかった。
米海軍によると、2018年リムパックには26カ国から艦船47隻、潜水艦5隻、航空機200機以上、要員2万5000人が参加している。
海軍戦略カレッジのアンドリュー・エリクソン教授は、中国軍のスパイ活動は、南シナ海のような世界的に公益価値の高い地域における米軍のプレゼンスの正当性を裏付ける行為だと、USNIニュースに語った。
(編集・佐渡道世)
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