北朝鮮国営・朝鮮中央通信は7月2日までに3日連続で、朝鮮労働党委員長・金正恩氏による中朝国境地域の企業や工場の視察を報じている。中国投資を呼び込む姿勢を見せている。いっぽう、中国の投資側は、現地労働者や経営者による窃盗に悩まされているという。
北朝鮮内の中朝合弁会社では、中国からの投資者側が、製品や原材料の窃盗を防ぐために監視カメラを設置している。北朝鮮に投資している中国企業の関係者は、ラジオフリー・アジア(RFA)の取材に応じ、監視カメラの設置が事業の明暗を分けると語った。
この関係者は、中国東北部の吉林省に接する、北朝鮮の咸鏡北道(日本海側の北部)の道都・清津市に設立された中朝合弁企業の運営をめぐり、中国の投資家と現地経営者との間で起きたトラブルについて語った。
「投資額に比べて産出量が低いと疑った中国の出資側は、監視カメラの記録に基づき、労働者が製品を盗んだと主張した」と同筋は述べた。証拠をもとに、中国の投資家は合弁事業から撤退すると述べたという。
中国側は、停電の影響を受けない太陽電池の監視カメラを設置している。「だいたい停電時に材料や製品が盗まれている」と消息筋は明かした。消息筋によると、原材料や製品の窃盗を働くのは労働者よりも、現地の経営者だという。
咸鏡北道の次の関係筋も、RFAに対し、中朝合弁会社が所有する原材料や製品の盗難が起きているため、新たな中国の投資家も防犯カメラの記録を確認しているという。
また、同関係筋は、労働者や経営者による窃盗で、これまでに多くの投資家は出資金を失い、合弁事業から撤退してきた。「防犯カメラを24時間稼働させても、北朝鮮労働者の窃盗を完全に防ぐのは難しい」と述べた。
ロイター通信によると、中国の衣料品メーカーは、北朝鮮の安価な労働力を利用して、北朝鮮の工場で生産したものを「中国製」のラベルを付けて輸出していた。報道によると、「中国製」の北朝鮮製品は数十ある代理業者を通じて、米国、欧州、日本、韓国、カナダなど世界中に輸出されているという。
(編集・佐渡道世)
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