北核開発支援で拘束中の女性経営者、中国当局が容疑を明言せず=米メディア

2018/01/14
更新: 2018/01/14

中国当局はこのほど、北朝鮮への核兵器関係物資を密輸したとして1年間あまり拘束中の遼寧省の貿易企業女性経営者、馬暁紅氏(45)について、あらためて「経済犯罪の容疑」で捜査中と公表した。米紙・ニューヨークタイムズ中国語電子版が11日伝えた。

ニューヨークタイムズによると、中国当局の広報を担当する国務院新聞弁公室がこのほど、同紙の取材に対して、馬暁紅氏らは「経済犯罪」関連の取り調べを受けている、と改めて述べた。

しかし同声明では、捜査関係者は「丹東鴻祥および馬暁紅らが直接、北朝鮮の核・ミサイル開発に関与した事実、また証拠はまだ見つかっていない」と否定した。

米国司法当局の幹部が16年8月に北京を訪れ、丹東鴻祥実業発展公司(以下、丹東鴻祥)の会長を務める馬氏らが、国連安全保障理事会の制裁措置に違反して、北朝鮮に核物資を輸出していると、中国当局に知らせた。これを受けて、遼寧省公安当局は9月中旬、馬氏と同社の一部幹部らを拘束した。また当局は、丹東鴻祥傘下の一部の子会社を閉鎖し、馬氏が保有する同社の株式を凍結した。

中国外交部報道官は16年9月20日と17年1月6日の定例記者会見で、丹東鴻祥と馬氏に対して経済犯罪などの違法行為で調査を行っていると述べた。これ以降、馬氏らに関する消息はわかっていない。

馬暁紅氏はビジネスマンに転身する前の20代の頃、丹東市のあるショッピングモールの従業員だった。1990年代の初め、知人とともに中朝貿易を始めた。96年に北朝鮮が鉄鋼廃材の輸出を許可したことで、馬氏らは北朝鮮からの鉄鋼廃材を中国に輸入しながら、石油製品などを北朝鮮に輸出する事業を始めた。2000年に、馬氏は資本金500万元の中朝貿易会社を設立した。

貿易会社を経営した約17年間で、馬氏が率いる「丹東鴻祥」の事業は中朝貿易だけではなく、中朝の文化交流、朝鮮料理レストラン・ホテル経営など多岐にわたった。

ニューヨークタイムズによると、2010年時点で、「丹東鴻祥」とその子会社による取引額は、中朝間の輸出入全体の2割を占めた。業績が好調だったため、「当時、馬氏は周囲に中朝双方の高官と緊密な関係を持っていると自慢していた」という。

米シンクタンクの国防問題研究センター(C4ADS)が昨年12月に発表した報告書によると、16年12月末まで馬氏が率いる丹東鴻祥傘下の企業は43社に達した。中の一部の子会社が北朝鮮に、核弾頭またはミサイルの製造に使う化学製品を販売したと示された。核開発関連物資のほか、通常兵器の関連部品も大量に輸出し、2016年3月には戦車用バッテリーをリンゴ箱に入れ、税関検査をくぐり抜けて北朝鮮に輸出したとの報道もある。

馬暁紅氏は、11年に丹東市の優秀な女性トップ10の1人に、12年優秀な女性企業家に選ばれた。13年、遼寧省の人民代表大会(省人代、地方議会に相当)の代表(議員に相当)に選出された。

大紀元時事評論員の李沐陽氏は、「省人代の代表選出は、馬氏と中国当局との深い政治的関係を表した。中国当局の黙認がなければ、丹東鴻祥は中朝貿易取引ができないし、核開発に必要な物資を販売することも不可能だ」と指摘した。

昨年12月、米国の偵察衛星がとらえた写真で、黄海の公海上で中国籍の船が北朝鮮籍の船に石油などを密輸しているのが発覚した。

国際社会が北朝鮮の核開発に対して、相次いで経済措置を打ち出しても、中国当局が以前として密かに北朝鮮に物資を支援している現実があらためて鮮明になった。

中国当局が、米メディアに馬氏の北朝鮮核開発への関与を否定したのは、当局が実に北朝鮮の真の支援者であるという世論批判をかわすためだとみられる。

(翻訳編集・張哲)